圭織さんの過去についてとディッパーについて
遅くなり申し訳ございません……
部屋に戻り、渡された封筒から手紙を取り出した。いや、待て、これ手紙じゃないのかよ‼あの人のことだから冗談かと思ったら…これなんかの書類だな。……て言うか、ガチの個人情報じゃねぇか。こんなもの手渡してきてどうするつもりだよ。心の中の葛藤がピークを迎えたその瞬間、ピークは急激にに下がっていった。
「間島………圭織?」
それは僕の予想に反していた。明らかにトップシークレットのその書類はどうも圭織さんの周辺調査の物のようだった。僕はそれをまじまじと見ていくうちに気が付いた、それは最終学歴のところ、国立の有名大学で学科は…
「凶器病…対策科?」
そこではじめて気づく、昼間に体験した僕に対しての異様なまでの嫌悪感、敵対心、あれらは僕に向けてではなかったことに。
「凶器病を持っている人全員に?」
遠回しではあるが、あれらは僕らに向けてだったこと、しかしなぜ?その疑問が脳裏に浮かんだが経歴の欄を見るとそれも当然かと納得してしまった。
「15歳のとき、凶器病を発病した通行人に目の前で両親、及び母親の中にいた24週の胎児を殺された………か」
誰だって大事な人は失いたくはないだろう。そこではじめて彼女は凶器病発病者に対しての嫌悪と敵対心が芽生えたってことか……なるほど?
「大切な人を失ったってやつか……はぁ何が復興の時代だよ。僕らの時代とあんまり変わらないじゃん…」
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凶器病※ディッパーは開幻した物に対する呼称
ある一時の感情暴走が脳内での許容量を越えて理性を破壊した末にその感情をおさめようと現実に思考内の物体が出てくる奇病、物体が出てくることを開幻という。
感情によってディッパーの危険度は異なるが最大の危険性は一時の嫉妬や憎悪などで非常に強力なディッパーを開幻したさいに理性が破壊されているため周囲の人間に害を及ぼす危険がある
またこの病の最大の問題点は今日までにディッパーを開幻してしまった者に施工されるべき対策もプログラムもすべて失敗に終わっており今のところ感情に任せ好き勝手にさせて感情の落ち着きつまりディッパーの消滅を待って確保するしか方法がない点である。
この病は荒廃の時代から発症が確認されたいわゆる時代病の一種で荒廃の時代から復興の時代に移り変わった今でも発症が確認されるため遺伝の形質なども調べられているが詳しくは分かっていない
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未だ謎に包まれているこの病は僕たちがまだ幼い頃に発症した病気の名前でもある。最も僕たちは理性が残った患者であって、僕たちに理性がない訳じゃあない。分かりやすくいうと理性が破壊される病気で理性が破壊されなかったっていうのが僕たちなんだ。だから僕たちはこうして……暗殺者として活躍してる。巷では正義の暗殺者なんて呼ばれかたしてるから圭織さんは僕たちが正義といわれることに対しても相当苛立っているのだろう。
「はぁ、どうやって付き合ったらいいんだか……」
ひとつの病気持ちと、その病気が嫌いな人、普段だったら絶対に交わることの無いその二人になったとわかったとき僕はさらに今後の先行きに不安を覚えるのであった。