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第十話   帰路での追及

計2523文字です。

僕が気絶している間に何があったのでしょうか?


何だか皆の僕を見る目が変化しているような気がします。


特に乙ちゃんなんかはさっきからこちらをちらちらと真っ赤な顔で睨んできます。


な、何を怒っているのでしょうか?怖くて仕方ありません。


九陽君に聞いても誤魔化すばかりで何も答えてくれませんし、葉月君は女の子と話しているので聞くことも出来ません。


かぐやちゃんはというと、その話をすると何だか眼の奥に危ないものを感じたので話を無理矢理かえました。


そんな何となく居心地の悪い空気の中で練習が終わるまでもう少しだったので剣道部の練習が終わるまで待つことになり、僕が退屈しないようになのか部員の方々が色々と構ってくれたりしてくれました。みんな、いい人達ばかりです。


そして現在、僕、九陽君、葉月君、皐月さん、乙ちゃん、かぐやちゃんの六人で帰路に着いています。


「で、誰なんですか?」


「それは、ですね。ほら、あの、あれですよ。」


「ちゃんと教えてくれないか?」


「その、えっと、何というか、ですね。」


「・・・・・・。」


女性陣から僕が言っていた人は誰なのかと迫られています。


乙ちゃんは喋ってはいませんが、僕の顔をジーっと見ています。・・・・・・僕が視線を合わせるとすぐに逸らしますけど。本当に僕が何かしたのんでしょうか?


九陽君と葉月君に助けを眼で求めても無視されます。


だれかー、たすけてくださいー。


僕のそんな祈りが届いたのでしょうか。


「あれ?雛君?」


買い物袋を持った秋穂さんと出くわしました。


「秋穂さん、こんにちわ。お買い物ですか?」


「ええ。店のほうは夏春君に任せて夕飯の買い物。雛君は学校の帰り?」


「はい。あ、こっちは学校の友達です。」


って、あれ?何でみんな、秋穂さんをそんなジーっと見てるんですか?


「雛、この人が例の人か?」


あ、そういう勘違いをしてたんですか。


「いえ、秋穂さんはバイト先のチーフで店長の奥さんです。秋穂さん、左から九陽君、葉月君、皐月さん、かぐやちゃん、乙ちゃんです。」


「どうも初めまして、皆さん。」


秋穂さんが挨拶をすると皆も挨拶をしたのですが、


「初めまして暦 葉月です!いや〜、あなたのような美人と知り合えるなんて光栄ですよ。」


葉月君が秋穂さんにすりよって行きます。人妻にもちょっかいを出すその根性を叩きなおさないといけないかなとも思いましたが、相手が秋穂さんだったので少し同情してしまいます。


「どうですか?今度、おぢゃっ!!―――――――ッ!!」


秋穂さんは笑顔のまま空いてるほうの手で近くに来た葉月君に見事な地獄突きを見舞い、葉月君は首を押さえながら転がりまわりながら悶絶しました。


流石は秋穂さん。容赦が微塵もありません。冬琉ちゃんもこういうところを受け継いでしまったのでしょうか。


「雛君、例の人って何のこと?」


しかも、何事もなかったかのように会話を進めます。・・・・・・あれ?状況がむしろ悪化していません?


「えっと、ですね、その。」


「・・・・・・もしかして、琴音さんのこと?」


何で言っちゃうんですか!?


「「「琴音さん?何か知っているんですか!?」」」


「なるほど、琴音という名前なのか。」


女性陣の食いつき方が半端じゃありません。九陽君も名前は知らなかったので自分より詳しそうな秋穂さんに興味津々のようです。


「知ってるも何も昨日会ったばかりよ?」


「「「どんな人ですか!?」」」


秋穂さんは食いついてくる女性陣を見ると溜息をつきました。


「なるほど・・・・・。流石は雛君、といったところかしら。」


「どういう意味でしょうか?」


「そのままの意味よ。雛君は気にしなくてもいいわ。そのほうが面白いから。」


僕にとっては面白くないことじゃないでしょうか?


「そうね・・・・・・。彼女はすごい美人で優しそうないい人よ。」


「「「美人で、優しい・・・・・・」」」


「雛君よりだいぶ年上だけど、それでも私の前でお互いに好きだって言い合ってて(家族愛的な意味で)愛し合ってるのが会ったばかりの私にも分かったわ。」


「「「年上・・・・・・、愛し合ってる・・・・・・」」」


何で僕を睨むんですか?というか、秋穂さん、わざと誤解するように言ってませんか?


「けど、まだ入り込む余地があるから私も大家さんも(母親の座を)諦めないわよ。」


「「「・・・・・・。」」」


・・・・・・視線って時として言葉よりも雄弁ですよね。


「雛は年上趣味だったのがっ!!」


とりあえず、分かっているくせに余計なことを言う葉月君は蹴っておきました。


「そういえば、さっき、あっちで琴音さんを見かけたわよ?」


え?母さん、町をうろついてるんですか!?燈鏡 紅だってバレたらどうするつもりなんですか!!


とりあえず、皆と別れて家に帰らせないと・・・・・・って、え!?九陽君以外いない!?


「もう全員、雛母を見に行ったが?」


「速くないですか!?そんなことより分かってたなら止めてくれたらよかったじゃないですか!?」


「俺も雛母に興味がないわけじゃないからな。むしろ、追いかけるのを推奨したいぐらいだ。」


「あら?あなたは知ってたの?」


「ええ。まぁ、その人物が母親ということだけですが。葉月も知っているはずなんですが、あいつは美人という言葉に食いついたのでしょう。」


そうだっ!葉月君が母さんに余計なことをする前に駆除しないと!!


「す、すいません!秋穂さん、僕も失礼します!」


「俺も失礼します。」


「そう?じゃあ、雛君、九陽君、またね。」


手を振る秋穂さんの脇を駆け抜けて先に行ってしまったみんなを追いかけました。









おまけ。


「・・・・・・あの子達が冬琉ちゃんのライバル、ね。積極的そうな子もいたし、もっと冬琉ちゃんに発破をかけないと駄目かしら。」


企む主婦。




おまけ2。


「あ、これ雛に似合いそう。」


何故か女の子用の服を品定めしている母。



短めになってしまいました。次回の琴音登場の繋ぎとして書いたので中身もそんなになくて申し訳ありません。

 ご意見・ご感想のほう随時お待ちしています。

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