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瀬野家の人々(R-15版)  作者: ◆fYihcWFZ.c
初期 俺の彼女と弟が美少女すぎてヤバい問題
2/21

02 メリーさん 2012/12/24(月)

「メリー・クリスマス!」


 クラッカーの音と可愛らしい声色の祝言が、ステレオで耳に響く。


「め、めりーくりすます?」


 髪についた紙ふぶきを払いながら、俺はそう返事するのがやっとだった。


「お帰りなさい。遅かったねー。待ちわびちゃった」

「お料理とっくに届いてるから、早くたべよー♪」

「おー♪」


 いつもとはあからさまに違うテンションに戸惑いつつ靴を脱ぎ、トテトテとダイニングに向かう2人の後を追う。

 真っ赤な布地に白いフェイクファーをあしらった姿の、鏡写しのような美少女?たち。髪飾りの位置が左右逆なのも『鏡写し』の印象を強めている。


 お尻が見えそうなくらい短いスカートと、赤いニーソの間に見える太ももが眩しい。このうち片方が、俺の義姉にして恋人、ついでに人気読者モデルの瀬野悠里。

 で、もう一人が彼女の双子の妹の……ではなく、彼女の2歳年下の()である瀬野俊也だったりするわけだが。


「あれ? 親父たちは?」

「あの二人、ホテルでお食事ー。その後お泊りコース」

「そそ。今日は私たち3人きりでお留守番♪」

「来年の今頃は、新しい弟か妹が出来てるかも」

「いや、幾らなんでもそれはないんじゃないかな?」

「だって、パパたち本当にそう言ってたもん」

「本人の発言かよ!」

「孫と子どもが同じ齢ってのも面白そう♪ とかも言ってたよね」

「言ってた、言ってた」

「四十女が出産する気マンマンかい」

「両親の公認も出たし、今夜はいーっぱい子作りしようね♪」



「メリー・クリスマス。いただきまーす」


 食卓の上に所狭しと並ぶ、デリバリっぽいけど意外に豪勢な料理たち。

 俺の両側にぴったりと寄り添って、甲斐甲斐しくお給仕してくれる、サンタクロースをモチーフにした、露出度のやたらに高い赤と白のコスプレ衣装の美少女2人。

 3年前の俺をつれてきたら、即座に「もげろ」とでも言いたくなるような光景だ。


「はい、雅明、あーん」

「あー、ずるいー。次こっち『あーん』お願い」


 この美少女2人のうち、かたっぽが本当は男だというのが難点なんだが。


 肩から背中はほぼむき出しで、胸元から肩にかかる白いフェイクファーがアクセント。健康的な肌の色の薄い肩が、ライトを浴びて光り輝く。そこから伸びる、余分な肉のない腕から指先の曲線が綺麗なこと。

 ……でもこれだと俺、半分の確率で男の身体に欲情していることになるんだよな。胸元を覗いて確認しようとするも、柔らかそうな2つの丘の間の谷間はどちらも見えない。

 騙されっぱなしもシャクなので、少し悩んで、俺の出来る数少ない判別方法をチャレンジ。俺の右に座る、頭の右側に小さな三角帽子型の髪飾りをつけた少女?のお尻に手を伸ばす。


「ぁん……雅明、やだぁ」

「いや、お前俊也だろ」

「あは、やっと分かったんだ」

「さっきまで、俊也の胸をのぞいて鼻の下伸ばしてたくせにー」

「ねぇねぇ。私のお尻、どうだった?」

「最悪な気分だな。なんで俺、野郎のケツを触ってるのかと」


 本当、最悪の気分だった。

 悠里のヒップに比べると丸みと柔らかさが足りないけど、それでも揉み心地の気持ちよさと温かさに少し股間が反応してしまう。

 そんな、男、それも弟のお尻に欲情する、サイテーの自分に落ち込む、最悪の気分。


____________



 さて、食べるだけ食べて、シャワーも浴びて。

 いつもは親達が使っている和室には布団が敷かれ、今日はここで一緒に寝る気満々らしい。

 布団の上には、悠里たちが座って談笑していた。

 髪飾りを左側につけた悠里がぺたんこ座りで、右側につけた俊也が正座を横に崩した姿で。


「おかえりー♪」

「やっときたー♪」


 声も仕草もそっくりで。これが双子の姉妹でなくて、2歳差の姉弟というのが分からない。


「ところで雅明、この衣装どう?」


 悠里が天使のように愛らしい笑顔でそんなことを聞いてくる。


「うん、とっても似合ってて可愛いよ」

「えぇー。それだけぇ?」

「……えぇと、悠里、モデルやってるだけあって、何着ても可愛いからなあ。あ、でも赤い服ってのはわりと新鮮なのかな。意外だけどよく似合っててるよ」

「うんうん、もっと言ってもっと言って」


 悠里がうっとりした表情でそう言う。そういえば悠里、ナルシストの気があったっけ。

 俊也のニヤニヤ笑いが気にかかるけど、思ったことをそのまま口にしてみる。


「露出度が高い服、あんまり着てくれないけど、いいもんだね。鎖骨とか凄いセクシーだ。首のラインとかとっても綺麗。脚も長くて、いい感じに肉がついてて本当に脚線美って感じ。こないだ大学で、女子が悠里の写ってる雑誌眺めて『この子可愛いよね』って言っててさ、『その子が俺の彼女なんだ』って自慢したいのをこらえるのが大変だった。写真で見ても可愛いけど、間近で見るともっと可愛いよね」


 そこまで言った瞬間、横で聞いていた俊也?がプッと吹き出した。


「もう、お姉ちゃん、台無しにしちゃだめだってば」

「ゴメンゴメン。でも雅明、そういうことは()に言って欲しいなぁ」

「……って、あ────っ。お前ら髪飾り取っ替えてたのか」


 さっき確かめて、『髪飾り右が俊也』と思い込んでいたので足をすくわれたようだ。

 髪飾りの位置くらい、考えてみれば幾らでも変えられるのに。


「そういうことー。もう、雅明騙されすぎ。もっと早くに気づくと思ったのに」

「女の子座りのマネをするの、結構きつかったぁ。脚がどうにかなりそ」

「お前らなぁ。悪い悪戯しすぎだ」


 俊也が婿に行くのか嫁に行くのか分からんけど、それまでずっと俺この調子で遊ばれ続けるんだろうか。


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