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滝上 結 2
「見つけた!」
柱の影に、結はいた。
見つけるまでに時間がかかってしまった。
「おい結さっきは、悪い事した。ごめん。」
「昔の祐の方が優しかった。」
「ごめん。…」
もう、それしか言えなかった。
久しぶりに見た彼女は、以前の彼女では無いように思えて仕方がなかった。
「ピロリン♪」
タイミング悪く、無線が鳴った。
「はい。」
『豊田君、私だけど。』
電話の主は、三条さんだった。
「なんだ?」
『もうとっくに、集合時間すぎてるよ、はやく!』
「うん?まじで?うわ、本当だ!今行く」
電話を切ると、再び結の方を見た。
「ごめん、行かないと。」
「行けば…」
「今日は、帰ってもいいし、自由で、…帰りたかったら出口はあっちだから…」
そこから、言葉が、出てこなかった。
彼女は、何か言いたげだったが僕は、その場を後にした。