第十八話「静かなる反撃」
第十八話「静かなる反撃」
太陽が中天を差す頃、パッセ領の港街は昼飯時となった。漁から帰ってきた漁師を迎え入れる忙しさは潜め、貨物の荷降ろしなどが主である。大体がン・ヤルポンガゥやエメリアユニティからの定期船からの荷物だ。
その荷降ろしも昼飯の時間となると活気はなくなった。食事処や出店に人が集まっているのだ。
港街の住人も、船員も漁師たちですら食事にありつこうと、店に集まり賑わっていく。港街最大の酒場は昼から営業しており、食事も提供していた。
一人の男が火酒を浴びるように飲み干す。器をテーブルに豪快に置いた。
「長旅の後の酒は旨いなぁ」
店は三百人ほどの男たちで埋まっており、常連の客は皆それを知ると諦めて別の店へと足を運んだ。
店主は少しさびしがったが、上客なので仕方がないと首を振った。彼らは支払いもよく、所作が悪目立ちするような輩ではなかったのだ。
全員堀の深い顔立ちで、全員が屈強な体つきをしていた。
先ほど到着して、そのままこの店になだれ込んできたのだ。一悶着あったものの、店主としては助かったようなものである。
早くから開く酒場なのだで、厄介な客がいつくことがあった。今日もそいつはやってきたのだが、彼らにあっという間に撃退されたのである。
「店主よ。ここの酒は旨いぞ。もっと値段を釣り上げていいくらいだ」
「ありがとうございます。お客さんたちはどこから?」
男は酒を煽りながら「エメリアユニティからだ」と言う。
「体つきからして傭兵さんかな? 惜しかったね。内乱は終わっちまったよ」
男は気にした様子もなく火酒を流し込む。
「酒は旨いが、女が少ない。娼館のお店はないのかい?」
「あるにはありますが、お客さん多いですからね」
そうなんだよねと男は同意して、新たに酒を注文。つまみを食べながら、外の賑に自然と微笑んだ。
男はそのまま店の軒先に出て、街を見渡す。彼の感想はいい街だなというモノだ。
男が店に戻ろうとすると、痴話喧嘩が聞こえてきた。
「――この仕事は僕が先に見つけたんだ」
「先に取っただけじゃない! それは私が先に目をつけたの!」
「君は僕以上に才能があるというのかい?」
「あんたよりは、目がいいわよ!」
男は喧嘩の内容が気になった。
――才能を誇示したがるほどの職ということか。そしてそれを奪い合うほど。となると、今のこの国を収めている奴はかなりの切れ者かもしれないな。
男は急いで店に戻り、店主に銀貨の入った金を渡す。
「お客さん。多すぎるよ」
「すまない。部下を少し預かっていて欲しい。必要なら雑用として扱っていて欲しい。一週間――いや、三日以内に戻る」
店主は有無も言えず、銀貨が大量に入った袋を受け取り困惑した。男の側に金髪の男が歩み出る。
「自分も」
「いや、副官のお前まで動いたら台無しだ。三日して戻らなかったらなんとかしといてくれ」
男はそういうと急いで店の外に出た。耳を澄ますと口喧嘩はまだ続いている。声のする方へと急いで向かった。
路地裏で男女が口論をしている。公示人は右往左往していた。目の前で繰り広げれて困っていたのだ。
男は咳払いして男女の注意を自身に向けた。そして、少年の持つ紙をすらりと奪い取る。
「ぼ、僕のだぞ」
「盗らないよ。ちょっと読ませてくれ」
男は踊るように飛びかかる少年を躱す。
「私によこしなさい」
少女は腰を落とす。男はその動きに一瞬だけ目を細めて、今度は飛びのいて避けた。
男は素早く内容を読み終える。
「ご両人、落ち着け。これを発布した奴は、優秀な奴は全員雇う奴だ」
少年と少女は顔を見合わす。男は踵を返して歩き出す。
「あ、ちょっと待て」
「どこ行くのよ」
男は二人に紙を揺らしながら見せて、言う。
「今から俺達で会いに行くんだよ。この領地を治めている奴に」
「勝手に僕を含むな!」
「一人だったらどうするのよ」
男は高笑いをする。
「大丈夫だ。その時は俺が全員を雇わせる」
男の謎の自信に二人は閉口した。が――
「おい酒臭いぞ」
「呑んでたからなぁ」
二人は一斉に文句を言い始める。傍から見ればそれは父親が子供に怒られているようにも見えた。
空に九つの月が昇る。
パッセ領の本拠がある街では、夜の活気に満ちていた。
いつもの酒場でジャクソンたちは酒を煽る。彼らの表情は一様に暗くなっていた。
「カラミティモンスターが出た。兵を動かせないのか?」
「無理だ。小僧に気取られるぞ」
ジャクソンは即答する。
彼らが管理していた隠し集落にカラミティモンスターが出始めていたのである。すでに被害も出始めていた。そしてジャクソンだけしか知らない隠し集落も同様の被害を出していたのだ。
彼らは地図を広げ、石を並べていく。
「ここと、ここ。そしてここにも出たらしい」
――全部で四体か。
ジャクソンは苦虫を噛み潰したような顔となる。
傭兵を雇うにも、兵を動かすにもソラに気づかれる事を考えて、彼らは動けない。
「小僧をせっつくのは?」
「討伐する過程で、隠し集落を発見されたらどうする?」
結局彼らは結論を出せずに、その日は終わってしまう。
時を同じくして、港街から来た三人は元パッセの屋敷の裏口に立っていた。
少年と少女はすぐに文句を言う。どうしてここなのだと。表口から堂々と入ればいいと考えるのは普通である。だが、と男は首を振る。
「この最後の――日が落ち邪道より来たれ――はそういう意味だ」
という予想だというのを彼は伏せた。
彼らは港街で馬を借り、半日でここまで来たのだ。素早く来れた理由は道が舗装されていたからである。
そのことに関心したのは、三人のうちの少年だ。
「そういや、まだ名乗っていなかったな」
男が名乗ろうとした時だった。蒼い光が霧状に揺らめく。三者三様の対応を取る。
次第に光は屋敷の方へと流れていくと消えた。
「何だったんだ?」
「わかることは、これから何か起こるということだ。備えておけよ」
少年と少女は顔を見合わせる。二人はいつでも逃げ出せるように準備した。
裏口の扉が開かれ、一人の少年が現れる。迷うこと無く彼らを見つけると手招きした。三人は一瞬だけ顔を見合わせると、男が先に動き出す。
「嬢ちゃん坊っちゃんは俺の後ろにいな」
二人は口を開けようとするが、その前に手で制される。男は口に人差し指をあてると、先に進んだ。
客間ではなく、物置に通される。三人は、三者三様に顔をしかめた。木組みで出来た椅子に座るように促される。対面には目つきの悪い少年――ソラだ。その側にはレーヌ。
彼は三人の容姿を確認した。
三人の中で一番の年長者である男。彼の肉体は鍛えぬかれており、たくましい体つきだ。椅子に座っていながら隙を見せない姿勢に、ソラは関心を示す。顔の彫りが深く。くせっけの灰の瞳に頭髪。
ソラと同い年くらいの少年。美しい顔立ちをしており、中性的な顔立ちだ。左頬に傷跡があり、それが一層際立たせている。彼は頭髪が長く、毛先は背中の辺りまで伸びていた。旅人の形をしているが、髪には一切の乱れがない。薄濃鼠の頭髪に青の瞳。
少女は幼い顔立ちをしている。長く青い頭髪は右でひとまとめに結わえられていた。体躯は幼い顔立ちからは想像できないほどに、豊かな体つき。藤色の瞳がソラを覗く。
「この度はご足労、ありがとうございます。俺はソラ、この領地の代官を任されております」
「代官なのか?」
少年が最初に口を開く。問いにソラは頷きで返す。
しばらくすると頭髪をツインテールに結った侍女、カトリーヌがお茶を持ってくる。ソラは口をつけて、三人を安心させた。三人もお茶を飲み干す。
「仕官を希望――ということでよろしいでしょうか?」
ソラは単刀直入に聞く。少年と少女はすぐに首肯する。男は頷かずに、目つきの悪い少年を値踏みした。
「随分とこれは……」
「どうかいたしましたか?」
男はいえと手を振った。
「失礼しました。俺はオスヴァルトという。約三百人規模のキャラバンを率いている傭兵団の団長だ。今回の募集している内容とは違うが、雇って欲しくて来たんだ」
ソラはなるほどと頷くと、考える素振りを見せる。今度は彼がオスヴァルトを品定めする。
「なぜこちらを?」
「まずはここが台風の目になるからだ」
オスヴァルト暗にこの国が戦乱の中心になると言ったのだ。彼がこの時、そう断言したのは、情報収集による予想であった。回避される可能性も十分にありえたのだ。
しかし、彼の予言は予想外の形で現実のモノとなるが、この時それを知る者は、この大陸にいなかった。
ソラは頷き、目で続きを促す。
「そろそろ定住先も考えないとなと」
二つ目は彼にとって重大であった。傭兵団はその特性上、常に戦地を探して移動し続け無くてはならないが、いつかはそれを終わらせないといけない。
内乱のあったばかりのこの国に自分たちを売り込むのは、絶好の機会なのだ。
「僕はバーナード。募集している地質調査、及び地図の製作を希望している」
「私はアオイ。遺跡の調査を」
それぞれの目的を聞いて、ソラはわかったと言う。
彼が求めたのは地質調査と遺跡の調査をする人間だ。これは誰にでも出来るようなことではない。それ故特殊な形で出したのだ。
「それらを足がかりに何を成したいですか?」
いの一番に口を開いたのはバーナードだ。
「僕もオスヴァルトと同じく、ここが戦乱の中心になると思っている。そこで自分の力を試したい。地図も作りたいが軍師も目指している」
オスヴァルトは小さく欲張りだなとつぶやく。バーナードは目だけ動かし反応する。
「私は遺跡を調査したいだけ」
アオイはそれで終わりらしく閉口した。
「俺たちは飯と酒が欲しいぞ。後、女」
オスヴァルトは笑いながら言う。
「全員採用させていただきます」
その言葉にオスヴァルトがいち早く反応する。
「よそ者の俺達をすぐに受け入れるってことは、深刻か?」
「はい。身内に私を快く思っていない方がおりまして」
だからかと三人は納得した。周りくどく夜に裏口に来いと言われた意味を理解した。
オスヴァルトは顎に手をやり考えこむ。
「しかし、ソラ代官。そこまで深刻になった理由は?」
ソラは自分も同じくよそ者であると言う。それに全員が納得した。
彼もまた、他国の人間である。内乱に際しシャルロットを助け、今もこうして仕えているのには理由がある。遺跡の調査だ。
「しかしよそ者が、よそ者を引き入れるとややこしいことになりそうですな」
オスヴァルトの言葉にバーナード頷く。
「僕達を重用すれば、元々いた人間からすればいい気はしないだろう」
どうするのだと三人は言外にソラに尋ねた。対する目つきの悪い少年は唸る。
ジャクソンの的確な妨害に苦しめられていた。彼らが来るまでにソラ自身も何もしていないわけではなかった。
三千の兵士を説得しようとしたのだが、悪評のせいもあり上手く行かず。そのうち二百人ほどしか、彼の説得に応じなかった。
その事実を彼は包み隠さず話す。
「そのジャクソンって奴を倒せばいいんじゃないの?」
「できれば彼には自発的に協力して欲しいのです」
ソラは妨害に対していい思いはしていない。だが、同時にジャクソンの手腕を欲していた。
「確かにそいつは理にかなっているな。敵をまるごと従えさせることが出来るだろう。だが、ソラ代官。あんたには経験が足りないだと思うぜ」
オスヴァルトは指摘する。
レーヌは少しだけ顔をしかめた。彼女はソラの働きを目の当たりにしていたので、その言葉に多少の抵抗を覚えたのだ。傭兵団の団長はそれに気づきく。
「その通りです。正直に言いますと、あまり長く多くの兵士を扱うことは経験しておりません」
「だったら、おじさんが良い事を教えてあげよう。酒と女だ。それさえあれば大体の兵士は納得するってもんよ」
ソラは考えこむ。
――確かに言われて見れば。酒はあるが、娼館の類はあまりない。
彼はパッセ侯爵が残していた計画書を思い出す。国を乗っ取った後は、娼館の類を各地に建てる計画を練っていたようだ。そのための準備として半獣人族を移民で受け入れられないかと、練っていたのだ。
ソラが考えこんでいると、オスヴァルトが続ける。
「つまり俺達を登用した祝いの酒樽をくださいよ。それさえあれば、代官のお役に立たせて見せますよ?」
オスヴァルトは女もあればなおいいんだがとぼやく。
彼は兵士の方は任せてくれと言っているのだ。ソラは頼みますと言うと、レーヌに向き直る。
「そういえばレーヌさん。陛下は娼館の類を禁じられているのでしょうか?」
「いえ、娼館の類は禁じられてないです」
そこでレーヌ以外は首を傾げる。
ではなぜ、この国にはあまりないのだろうかと。
レーヌはこの国は代々女系の王が続いたことを説明した。女神エクレールの信仰も手伝って娼館の類は、建てづらかったのではと予想する。
後にミュール伯爵と会合するソラは、彼から同じような言葉を聞くこととなった。
ブランシュエクレールという国は、女性を豊穣の対象として見ている節があるのだ。それはお触れなどで決められたモノではなく、潜在意識に刷り込まれており、積極的に娼館を必要としなかったのだ。とはいえ、全く国にないわけではない。さらに、かつての戦史によれば、マゴヤやノワールフォレとの戦では、娼婦を引き連れていた記録もあるのだ。
これらの文献などを元にソラは後にある事を思いつく。
「つまりですよ代官。娼館があればさらに我々は頑張りますよ?」
オスヴァルトは調子づくが、バーナードが釘を刺す。
「代官の任期次第ではそれが頓挫する可能性がある。失礼ですが、どれくらいですか?」
「残り一ヶ月と半です」
全員が短いと思い、口にする。
「後にこの領地を頂戴する方がおります。そちらの方とご面会してから、仕官でもかまいません」
「運がいいですね」
カトリーヌの言葉にソラは頷く。三人は首を捻る。
「どういうことでしょうか?」
アオイの問いにレーヌが答える。
「明日、こちらの領地を統治する方が来ます」
それからでも遅くないとソラは言うが、彼らは特に問題視しなかった。
「僕はどうでもいい」
「俺たちは酒さえあれば――いや、女も欲しいな」
「遺跡の調査を終えればどうでも」
つまるところ彼らとてよそ者なのだ。面倒事になるようならば、ここを去ることが出来る。明日の宿の心配より、今日の宿のほうが重要なのである。
明日の昼にはシャルロットたちが様子を見にここまでお忍びで来るのだ。
「ついては、明日の昼から行動したいのです」
「となると地図製作も?」
ソラははいと応じ、カトリーヌに目配せをする。彼女は地図を取り出し広げた。
「これが現在の地図ですが、いくつか隠し集落が表記されておりません」
オスヴァルトは口笛を吹く。
ソラは裏帳簿の内容から大きな集落が二つほどあると説明する。
「ですが……少し疑問もあるのです」
「どういうことだい?」
オスヴァルトの問いにソラはジャクソンの話をする。
どうにも落ち着きすぎなのだと。かつての領主が死んだのだ。つまるところ、誰かしらが代官でくれば隠し集落の存在を察知するはずである。それを隠した理由でジャクソンは解雇されかねない。
「だが奴さんはそれでも平然と屋敷にいると」
「平然と言うわけではないですが、こちらが気づいていることは知っているはずです」
目付きの悪い少年は、その時点で何かしらの行動があると思ったのだが、それが皆無。
「僕なら隠し集落の報告をする。それが無いということは――」
「職を失っても大丈夫。または職を失わない自信があるか」
ソラは首を振った。
「たぶん両方でしょう」
「根拠は?」
今現状、兵士がジャクソンの言葉を信じているだろう。対してこちらはオスヴァルトの配下を含めても五百人。ジャクソンを解雇すれば二千人以上の兵士で謀反を起こすことが可能だ。
実際その気配は滲ませている。もちろん本当にするのではなく、警告しているのだ。
「失っても取り返せるということか」
「謀反を起こさせてしまえば、いくら陛下の信頼が厚いとはいえ」
オスヴァルトとレーヌの言葉にソラは頷く。
どちらにしてもジャクソンにとって優位な状況だ。
「ですが、大丈夫です。我々は勝てます。だからこそ、バーナードさんとアオイさんには、明日の昼以降から行動を開始してください」
バーナードとアオイは頷く。続いてソラはオスヴァルトに視線を向けた。
「オスヴァルトさん、二十人ほどカラミティモンスターと対峙しても逃げられる人と、女性がいても大丈夫な人を見繕えますか?」
「アオイちゃんと行動しても大丈夫な奴ってことな。だが、彼女は――」
ソラは手で制する。彼は「それでもですよ」と言う。
対するアオイは自分の身は自分で守れると主張したが、バーナードが却下した。
「君が大丈夫でも男の方はダメだ。特に君の体つきは非常に魅力的だろう」
オスヴァルトはわかっているじゃないかと頷くがバーナードはすぐに反論する。
「わかった。じゃあ、昼ぐらいに出発するためには――日の出と共にここを出ないとな」
「道中、替え馬を用意しておきます」
「そうだ酒樽!」
オスヴァルトは港で大量に見たことを説明する。
「残りの奴らに運ばせるからよ。くれよ金」
「逃げるつもりじゃないだろうな?」
バーナードが釘を刺す。
「疑うなよ。仲間じゃないか」
バーナードはふんと鼻を鳴らす。
「いいですよ?」
「そんなお金はありませんよ?」
ソラの言葉をレーヌが否定する。
「あるんですよ。パッセ領にはないですけどね」
ソラは部屋を出る。しばらくの後、彼は麻袋を持ってきた。甲高い音が中からしている。
「それくらいの量だと大樽二個くらいじゃないか? もっと――」
ソラから手渡しで受け取ったオスヴァルトは、中身を見て絶句した。
彼は麻袋に銀貨が入っているのだと思っていたのだ。しかし――。
「金貨かよ」
全員が驚く。レーヌは思わず口を開いた。
「まさか、ドラゴン討伐の?」
ソラは一部ですよと言い、オスヴァルトに必要な分だけを購入することを許可した。
「必要なモノもそれでお支払いして結構です」
オスヴァルトは再び袋の中身を見て、バーナードとアオイに見せる。それを耳元まで持ち上げ袋を振って音を楽しむ。
「こんな大金持ったの初めてだ。逃げたくなるな」
「おい!」
「睨むなよバーナードちゃんよぉ」
「ちゃんはやめろ」
そこでアオイは疑問に思ったことを口にした。
「ドラゴンを倒したのはあなたなのですか?」
彼らもブランシュエクレールに火炎飛龍が現れたことを知っている。当然討伐されたことも。それが誰の手によるものなのか、彼らは知らなかった。
ソラは頷く。
「信じるか信じないかは、皆さんにお任せします」
全員がソラを改めて観察した。
「あ、オスヴァルトさん。後で手紙を渡します。ン・ヤルポンガゥ行きの船にお願いします」
「りょ、了解しました」
ソラは物置部屋にいる全員を見渡す。
「さあ、皆さん反撃の開始です」
~続く~