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第二章⑦

エラリィという人はナンバ・サーティーンにはいなかった。その代わり、採掘場にはミカエラ、という破裂する魔女がいた。マロリィは彼女と視線を合わせると、盛大に舌打ちした。「ついてないなぁ、よりによって、ミカエラ」

ミカエラは底が硬そうな黒いブーツを履いていた。ブラウスの上に軍服のような厚手のジャケットを羽織り、黒く細いネクタイで首元を締めている。頭に乗せた角の鋭い帽子の中心にはエンブレムが輝く。ピンクの髪が帽子から溢れるように長く伸びる。マロリィを見て微笑む。「マロリィに、カブリエラに、ネイチャに、それから、君は?」

 ルッカはミカエラに見られ、ビクッとなる。マロリィがルッカの手を触って答える。「ルッカよ、私の魔女」

「はあ、」ミカエラは息を吐いて、憐れむような目をマロリィに向けた。「まだ君はそんなことをしているのかい? いや、いい、僕は何も君に言わないけれど、とにかく、ね、ここに何しに来たんだい? 何かを邪魔しに来たのなら、許さないよ」

「話がある、」マロリィは一歩、ミカエラに近づき発声した。「シデンはどこにいるの?」

「……シデン、」ミカエラは首を捻った。「知らないな、何のことを言っているの?」

「とぼけないで、」マロリィが言う。「昨日、この娘と一緒に、あんたたちは、もう一人、紫の魔女を捕まえたはず」

ミカエラはじっとマロリィを見ていて、突然表情を明るくして手の平を叩いた。「……ああ、もしかして、あの娘のことかな」

「その娘はどこにいるの?」

「待ってよ、マロリィ、落ち着いて欲しいな、」ミカエラはお腹に手を当てる。「ランチがまだなんだ、朝からずっと、硬い岩盤を爆発させる仕事をしていて、今、ようやくひと段落したところさ、おいおい、マロリィ、そんなに怖い顔しないで欲しいよ、僕は疲れているんだから、ああ、そうだ、一緒にランチを食べようよ、マロリィ、ガブリエラも、ネイチャも、ルッカも一緒にどう?」

「もうランチは済ませたわ」マロリィが答える。

「それじゃあ、コーヒーでも飲みながら話そうよ、」ミカエラは手の平を合わせ、明るく微笑んだ。「そうだよ、それがいいよ」

 マロリィは下唇を噛んで、ルッカを見る。マロリィはかなり不機嫌層で、悔しそうで、泣きそうだった。ルッカはどうしてマロリィはそんな顔をするのか分からないけれど、彼女の手をギュッと握り締めた。

 マロリィは前を向いて頷く。「分かったわ」

 ミカエラは表情を固定したまま頷き、横に付く馭者の格好をした少女に耳打ちした。少女は四人を睨み、持っていた銀色のトランクを開けた。注射針を取り出し、ネイチャ、ガブリエラ、ルッカ、マロリィの順番で、少女は慣れた手つきでそれぞれの右肩に薬を注射していく。涙目のなったのはルッカだけだった。他の三人は静かに注射を打たれていた。注射の意味は謎だったが、すぐに分かる。髪の毛の色が段々と悪くなっていく。牢に入れていた時も、同じ注射を打たれていたことが分かった。そういう薬が、新大陸シンデラにはあるのだ。マロリィの髪はアッシュ・ブラウンに、カブリエラの髪は素敵なブロンドに、ネイチャとルッカの髪は黒くなる。少女はそれを見て、とても笑顔になる。

「じゃあ、先に行っているよ、」ミカエラは箒に乗って飛び立つ。「アリス」

「さぁ、アリスの馬車はこちらです、」アリスは右腕を広げて四人を誘う。「色を失った魔女様たち」




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