クリスマスの神様
あるところに一人の神様がいました。
その神様は毎年クリスマスの日に、選ばれた数人の人々の願いを叶えて回る神様でした。
さて、今年もクリスマスがやってきました。
神様はクジで誰の願いを叶えてあげるかを決めました。今年は三人の人が選ばれました。
一人目は一人の少女でした。その少女について調べてみると、生まれつき目が見えないということでした。
早速、神様は少女に会いに行きました。
「こんにちは」
神様は少女に挨拶をしました。
「こんにちは。どちら様?」
「僕は神様だよ。君のお願いを叶えるために君に会いに来たのさ」
神様がそう言うと、少女は、
「私のお願いを聞いてくれるの?」
と、聞き返しました。
「何でもいいよ。但し、一つだけだけどね」
神様がそう言うと、少女は答えました。
「目が見えるようにならないかなぁ」
「君は目が見えるようになりたいの?」
「うん。私、生まれてこの方、お父さんとお母さんの顔も見たことがないの。それに、夕焼けとか、雪景色とか、そういう綺麗だってみんなが言ってるものも。私、見てみたいの。ねぇ、神様。私のお願い、叶えてくれる?」
神様は答えました。
「勿論、いいとも」
そう言って、神様は少女の目を治してあげました。
少女が目を開くと、そこには今まで見えなかったものがいっぱい広がっていました。
「わぁ、目が見える。神様、ありがとう」
そう言って、嬉しそうにお礼を言う少女と別ると、神様は願いを叶えてあげる二人目の人を決めるクジを引きました。
二人目は、若い男の人でした。男は結婚していて、妻と二人暮らしでした。
神様はその男に会いに行きました。
「こんにちは」
神様は男に挨拶をしました。
「こんにちは。どちら様?」
「僕は神様だよ。君のお願いを叶えるために君に会いに来たのさ」
神様がそう言うと、男は、
「僕のお願いを聞いてくれるんですか?」
と、聞き返しました。
「何でもいいよ。但し、一つだけだけどね」
神様がそう言うと、男は答えました。
「僕たち夫婦に子供を一人恵んでくださいませんか?」
「君は子供が欲しいの?」
「はい。僕の妻は子供が大好きで、子供がそろそろ欲しいと言っているのですが、僕たち夫婦には中々子供ができません。どうか妻の願いを叶えてやりたいのです。叶えてくださいませんか?」
神様は答えました。
「勿論、いいとも」
そう言って、神様は魔法を使いました。
「家に帰ったら妻に病院に行くように言ってあげなさい。きっと妊娠しているはずだよ」
「本当ですか? ありがとうございます、神様」
そう言って、嬉しそうにお礼を言う男と別れると、神様は願いを叶えてあげる三人目の人を決めるクジを引きました。
三人目は一人のやつれたひげおやじでした。そのひげおやじについて調べてみると、ギャンブルに負けてお金がなく、日々の生活にすら困っているということでした。
神様はひげおやじに会いに行きました。
「こんにちは」
神様はひげおやじに挨拶をしました。
「誰だ、おまえは」
「僕は神様だよ。君のお願いを叶えるために君に会いに来たのさ」
神様がそう言うと、ひげおやじは、
「俺のお願いを聞いてくれるのか?」
と、聞き返しました。
「何でもいいよ。但し、一つだけだけどね」
神様がそう言うと、ひげおやじは答えました。
「金をくれ。一生遊んで暮らせる金だ」
「君はお金が欲しいの?」
「ああ、そうだよ」
「どうして?」
「理由なんかあんたには関係ねぇだろう。さっさと願いを叶えろよ」
神様は渋りましたが、男が喚き散らしてうるさいので仕方なく願いを叶えてあげました。
男は、目の前に現れたお金の山を見ると喜び、それから神様を追い払うように、
「さっさとどこかへ行っちまいな」
と言いました。
神様は腹を立てて、その男の目の前からさっさと消えていってしまいました。
さて、その後、三人の人生はどうなったのでしょう。
一人目の目が見えなかった少女は、見える世界に感動して、世界の色々なものをキャンパスに描く絵描きになりました。なので、神様は少女の元にこっそりと筆と絵の具を送りました。
神様からもらった道具を大事に使って、少女は幸せな人生を送りました。
二人目の男は、妻との間に出来た子供を大事に育てました。なので、神様は夫婦の元にこっそりと勉強道具を送りました。
夫婦は勿論、その子供ももらった勉強道具を大事に使って勉強してお医者さんになり、街のみんなの病気を治して幸せに暮らしました。
三人目のひげおやじは折角神様からもらったお金をまたもギャンブルで使い果たしてしまいました。神様はひげおやじに何もあげませんでした。ひげおやじは結局、幸せな人生を送ることは出来ませんでした。
神様は今でもクリスマスになったら人々の願いを叶えて回ります。
あなたがもし選ばれたら、あなたは神様に何をお願いしますか?
久々に投稿しましたが如何だったでしょう。
読んでくださった方、有難うございました。