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ゲームの世界に入っちゃった!??

初投稿です!!!

何でもありのゲーム世界ファンタジーを書きました!

ご都合主義でかつリアリティのリの字も無い作品なので、そういったものが得意でない人には、オススメ出来ません。


逆に気にしない、めっちゃ好きって人は応援よろしくお願いします(>人<;)

『バグ』という言葉を聞いて皆は何を思う?


 ・コンピュータの中に潜む欠陥や誤り?


 ・見つける度にゲームを終了させなきゃいけないめんどくさい存在?


 ・見つけると達成感やお金を得られるソフトウェアの害虫?


 etc.....


 定義を用いて言うならば、コンピュータの中に潜む誤りを虫と見立てて生み出されたのが『バグ』という言葉なのだそうだが──『バグ』という言葉を聞いて思い浮かぶものは、人によって様々だ。


 ちなみに、俺たちが思い浮かべたのは─────ゲーム内における開拓とギャンブル!!!


 誰も発見していないバグを駆使して最速でゲームを攻略出来れば、それはある意味ゲーム内における快挙であり、それを成し遂げた俺たちは一種の開拓者と言えるだろう。


 けれど、場合によっては途中でソフトが故障し、ゲーム続行不可になる事もある。


 時に、千を超えるほどのトライあって、あと一歩まで来たところで、突如ソフトが故障……なんていう最悪な事態に見舞われることも。


 だが、そんな開拓か挫折かのギャンブルこそが、究極のロマンであると、考えるのが俺たちバグゲーマー。


「……YOSHI★」


「え、見つけたのか? 見つかったのか!?」


 ラビットファーのラグを敷いた、ナチュラルモダンのマンションの一室。


 そのふわふわのラグに仰向けで、携帯型ゲーム機を翳した彼女は、バッと上体を起こして静かにガッツポーズをキメる。


「うん。 まさか本当にあるとはね……歴史的瞬間ってやつかな……相棒★」


「な……なんと……!」


 呼吸をすこし荒くしながら、硬派な映画のようなセリフで目を輝かせる彼女。

 俺は、状況についていけず口をあんぐりと開いて驚愕の音を漏らす。


「て……事で私の勝ち!」


 そう彼女がドヤ顔で発した所で、徐々に頭が状況を呑み込んでいき、「それは……くやしい……悔しいな!」

 といったどこかマヌケな声を上げた。

 歯を噛み締め、滲み出る万感ばんかんの思いに唸りながら。


 そんな惨めな俺に、続けて「まあ、寿史は次に勝てばいいさ。勝てればだけどね」と、有頂天でありながらもどこか落ち着いた様子の声。


 その意地悪で愛らしい追い打ちをかける、パーカー付きのモコモコルームウェアが良く似合う小悪魔は──海空 璃奈りな


 彼女は、セミショートの外ハネピンクにブロックノイズ風カットを施し、その前髪にキーキャップのヘアアクセをあしらった全体的に小柄なユニークガールだ。


 その小さな顔にちりばめられた、柔和な鼻や口、小動物的な丸い緑の瞳が可愛らしい。


 彼女とは小学校の頃、ゲームセンターで出会っことをキッカケにゲーム仲間になり、高校二年の夏、彼女に告白されたことをキッカケに恋人になった。


 とはいっても、俺たちの距離感はカップルというよりは親友のようで、未だにちゃんと手を繋いだ事すらない。

 同棲を始めてもう三ヶ月が経つ、クリスマスの夜である今ですらも。


 ゲームで遊び続ける関係も悪くは無いが、俺から一つ、前に進めるべきだなと思うこの頃。


 ちなみに、寿史というのは俺の名前だ。

 フルネームは明神 寿史──周りからはよくカッコイイだとか、初見じゃ読めないだとか、縁起良さそうだとか、名前負けしてるなんて言われている。


 名前負けしてるは流石に失礼な気はするが、この無造作のボサボサヘアに、オーバル型の銀縁メガネを掛けた死んだ魚の様な目、165cmと最近では低いとされる身長。そして猫背……と、まあ他人ひとからそう言われても仕方ない見た目であるのは、客観的事実として受け入れてるし、仕方ねえのかなって思ってる。


 ただ、それで俺がネガティブになることは無い。


 彼女が『それが寿史だよ』と、受け入れてくれたからだ。

 もし、彼女が受け入れてくれなければ、俺は自己嫌悪に陥り、日々を不平不満で浪費していたことだろう。

 彼女には感謝してもしきれない。


 で、そんな俺たちが、今プレイしているゲーム。

『エネミークエスト』は、ネットでもあまり話題に上がらないマイナーでレトロなRPGで、三千円ほどで購入できる携帯型ゲーム機のソフトだ。


 クリアまでにかかる時間は平均して約三十五時間と、現代に置いては中々のボリュームであるが、俺たちはバグを駆使する事で三時間での初見クリアを可能にした。


 その殆どが、バグを探す時間だった為にタイムアタックをするなら三十分でのクリアも狙えそうだが、今回は横に置いておこう。


 というのも、このゲームには不思議なバグが見られるのだ。

 匿名掲示板で見つけた噂なのだが、どうやらこのゲームのバクには携帯型ゲーム機の丸いボタンに記された記号(○・×・□・△)が現れるのだと。


 それも、何度もバグらせ続ける事で稀に現れるとの事で、その確率は0.001パーセントだと囁かれている。


 そして何より特徴的なのは、最初に見つけた記号には左側にクォーテーションマークが着いていると言うことだ。


 掲示板では、『バグの中に稀に現れる謎の記号は、何らかの暗号であり、このクォーテーションマークはその始まりを記すもの』と、考察されている。


 実際、二回目以降の記号にはクォーテーションマークは付いておらず、いかにもそれらしい感じではある。ただ掲示板にいる人の中での最多が三回目であり、終わりを示すクォーテーションマークを見つけられていないことからも、確信には至っていない。


 途方もない作業だったのか。

 それとも元々、人が少なく過疎が極まったような掲示板だった為か、恐らく両方だろう。

 途中放棄したように情報が途絶えていた。


 この掲示板を初めて見た俺たちは、その情報に対して半信半疑であった。


 普通、『バグらせ続けると稀に現れる記号。何らかの暗号か?!』なんて聞いても、乱数的なものが生んだ偶然の産物だとか、都市伝説を生み出したい人の創作だとかしか思わないだろう。


 実際、この掲示板のジャンルは都市伝説だ。


 けれども、俺たちは強い興味と挑戦心を煽られた。


 未だ全ての記号を見つけられていないという記載があったからだ。


 俺たちバグゲーマーは、バグにまつわる謎に対して、バカになるほどに目が無い。


 この前も、とあるRPGにて。 ある島でまぼろしの草(食べると幻覚を見る不思議な草)を、十五回使ってワープの魔法を使うと、バグで実装されていない島に行ける。

 そんな、デマの可能性が高い(ネット調べ)とされる情報があったのだが。


 俺たちは、無鉄砲にもそれに飛び付いた。食らいつく勢いで。


 結果、半年でデマの可能性を考慮して『噂の域を出ない情報に飛びつく際は、探索期間を設けるようにしよう』と、話し合ったのは、また別の話。


 まあ、これもゲームでの開拓とギャンブルに魂を売った俺たちの、ごうたるやってやつか。


 と、それは置いておいて。


 俺たちは、最近バグを簡単に見つけきってしまうことや、バグが少な過ぎるという事で、腕の立つバグ探しプレイヤーのサイト、掲示板に潜っている。


 そこで、『バグ探しを諦めたゲームの欄』から未プレイソフトを見つける事がブームであるのだが────


 その延長線で、俺たちはその奇妙な都市伝説を暴くべく『エネミークエスト』というRPGを見つけて、プレイする事にした。



 先ずは記号の有無を確かめなければいけない。


 ということで、一つ目の記号は俺たちで別々に機器とソフトを買って、どちらが先に見つけるかという勝負をした。

 五ヶ月以内に勝負がつかなければ、今回の件は都市伝説として切り上げるつもりだったが、僅か六時間で彼女が見つけて勝負は終わった。


 つい先程の出来事だ。


 彼女がドヤ顔で喜びの声を上げた時、俺は思わず悔しさを声に出してしまった。

 けれど、同時に俺は喜び、仰天した。


 ネットの隅に廃棄されたような都市伝説をこのような形で、拾い上げられた。

 というのもあるが、これからその深くを探索出来ると思うと、ワクワクで気が動転しそうだった。


 彼女もまた、いつもの勝利を味わう様子であったが、目の輝きといい、僅かな呼吸の乱れといい、普段とは違う大きな喜びが漏れ出ているようだった。


 彼女は感情表現が、あまり激しいタイプでない。

 だから分かる。


 第一発見者になれなかったのが、死ぬほど悔しいと。


 それからは、彼女が使っていた機器で休憩時間を交互にしつつ、のんびりと隙間なくバグ探しに熱中した。


 手や心の骨がゴリゴリと削られていくような作業だった。


 途方のない数のバグを見つけながら、何度もゲーム機を破損させ、悲鳴をあげながら、時には発狂して……。

 けれど、俺たちは一つ一つ、着実に記号を見つけていった。


 そうして、六ヶ月後───────


「□と、末尾のクォーテーションマーク……これで最後か」


 最後のものとおぼしき記号を見つけたのは俺だった。

 心臓がドクドクと、破裂せんばかりの達成感を胸に騒がせている。

 今にも快哉かいさいを叫んでしまいそうだ。


 ただ、未だこの記号列の正体は分からないし。

 何より、今は夜中の三時。 彼女が寝ているから、一旦、快哉を叫ぶのはしておこう。


 取り敢えず、記号をメモに書き付けておくか。


 寿史はゲーム機をテーブルに置くと、ラグマットに置かれたメモの紙切れとシャープペンシルを拾い取った。

 紙切れには、俺と彼女の筆跡で四つの記号がメモされている。


 五つ目の記号に、末尾のクォーテーションマークと。


 メモを終えると、これで完成なのかなとふと考えた。

 そういえば、掲示板では《《何かしらの暗号》》というふうに考察されてたな。


 なら、もしこれで完成だったとして、このゲーム機に打ち込んでみたらなにかあったりするんかな。


 まあいったん、璃奈を起こしてみるか。


 ふかふかの枕に頭を乗せ、ブロックノイズ柄の毛布に覆われた彼女の肩を揺する。


 しっかし、ホント長くて最高な道のりだったな。

 平均して五百個くらいバグらせないと、記号見つかんないし、何より記号三個目でクラッシュする事が多かったから三個目以降になると毎回ハラハラするんだよ。


 何個集めたら良いか分からないから余計に。


 ふと目を泳がせ、壊れたゲーム機に目をやると、そこには山が五つあった。

 一つの山で十台くらいだから、ざっと五十台……。


 こんなにも残骸が……お前たちの覚悟。無駄にはしないぞ。


「ん……次私の番? お疲れ寿し……」


 彼女が目を擦っている。

 目を覚ましたようだ。


「ありがと。 終わったぞ、多分」


 そう彼女の眠たげで愛らしい労りに応えつつ、最後のものと思しき記号を見つけた事を伝えた。


 すると、さっと、上体を起こす彼女。

 その瞳には、パッとしいたけの切れ込みを思わせる光がともっていた。


「よし、じゃあ打ち込んでみようか 」


「おう」


 寿史がゲーム機を持つと、それをソワソワとした様子で覗き込む彼女。

 先程までの眠気はもうどこかへ飛び去ったようだ。


 にしても、めっちゃ目キラキラさせてるな。


 それもそうか。 今目の前にしているのは、六ヶ月もの時間を掛けて見つけ出した都市伝説の答えなのだから。

 実際、俺も叫び出したい気分だしな。


「何かしらの裏コードだったらいいね」


「そうだな」


 そうして、寿史は記号をゲーム機で打ち込もうとした。 瞬間、突如としてゲーム機の画面に異変が起こった。


「「え?」」


 ぐにゃりと、歪んだのだ。


 オレンジや緑など鮮やかな色が混ぜ合わさり、マーブル状にぐにゃりと。


 バグらせ過ぎるがあまり、ソフトが大混乱を引き起こしカオスな画を生み出してしまったのだろう。


 そう考えた方が自然である。何せ、このゲーム機においては、約一ヶ月もの間、絶え間無く、バグを引き起こされ続けたのだから。


 とはいえ、なんというタイミングなんだろう。

 たとえ、こういうのも含めたギャンブルと開拓こそが最高……だと謳う俺でも多少は、いや大分堪えるぞ。


「むむむむむ……このボーリングの玉みたいな模様め……。 意地悪なタイミングだね、寿史」


「だな……」


 これには流石の彼女もご立腹だそうで、ムスッと頬を膨らませている。

 うん、相変わらず璃奈のムス顔可愛いな。


 まあ、それはそれとして……


「また五十台近くの犠牲を出すことになるのかー」


「わーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」


 俺は、ゲーム機を机に置いて項垂れた。

 彼女もまた、隣で嘆きを上げて項垂れた。


 ***


(ナレーター:天の声)


 さて、皆さん。 ここで少し話題が変わりますが、気になってはいませんか?


 寿史たちは約六ヶ月の間、家に籠りっきりでしたが、一台三万円ほどする携帯型ゲーム機を五十台も買っておりました。


 凄いですよね。


 約六ヶ月もの間、一歩も家に出ずに百五十万円も使ったということですからね。


 ほんと、どこからそんかお金が出てるんだって思いますよね?


 では、お答えしましょう。


 動画投稿です。


 寿史たちは『バグを駆使してゲーム最短攻略』というコンセプトで、チャンネルを中学の頃に立ち上げ、月一で動画を投稿していました。


 その伸びは驚くほどに凄まじく、僅か三年で登録者三十万人突破。


 ほとんど運とサムネ、動画編集で獲得したファンだと思っているのですが、有難いことに収益も潤い、十年経った今では、貯金五千万……。


 おかげさまで、仕事せずとも生きていけるようになりました!


 現在、登録者数百五十万人の大物ですが、以前と変わらず、俺たちの休憩時間を動画製作に費やしては、月一で高品質の動画を更新しておりますので是非、応援よろしくお願いいたします。


 ***


 と────その時、今度は画面に白枠の黒いテキストウィンドーが現れた。


『コードを入力してください』と、記されている。


 俺の口からつい、え? と、間抜けな声が漏れた。

 思わず体が硬直する。


 これまで様々なゲームをバグらせては来たが、ゲーム続行不可の状態からテキストウィンドーが出てくるというのは、初の事であり、何よりもこの状況に出くわすまでの流れ(掲示板の件)があったために、一層、俺に奇妙な衝撃を与えたのだ。


「コードって……もしかして」


 硬直する俺の横で、彼女が驚いた声で呟く。

 小動物的な丸い緑の瞳はいつもより一回り大きく膨張し、感動にも似たような光が宿っている。

 柔和な唇がふるりと、震えたのが分かった。


 俺は思わず息を飲む。


「た、試してみるか」


 そのバグで壊れたと思っていたソフトに起こった得体の知れない現象に、好奇心と一抹の戦慄わななきを抱きながら、俺は呟いた。


 彼女は、元々そのつもりだったようで、ササーッとゲーム機手前まで移動すると、メモとゲーム機の画面を交互に見ながら、記号どうりにボタンを押していく。


『〇×△□□』


 最後の□を押した時だった。


 俺達の視界は眩いまでの白に呑み込まれていき、そして、突如として暗闇に放り込まれた。


「なんだ……ここ」



お読みいただきありがとうございました!!!

ポイントと評価、コメントをいただけると幸いです!!!!!


ちなみに、寿史たちの動画チャンネルは実在いたしません……。m(*_ _)m

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