プロローグ
ただ、幸せになりたくて
それだけなのに、こんなにも難しい…
「ねぇ、私たち頑張ったわよね…?」
「あぁ、きっと」
燃え盛る炎の中二人の男女が見つめあいながら語り合う。
ただし、女の方は腹部から大量の血を流し、
男の方は、背中を槍でめった刺しのにされている。
お互い生きているのが不思議なほどのケガである。
だからこそ、死んでいると判断されたのだろう死亡確認をされずに済んだ。
今にも息絶えそうな私たち、今この場には二人だけ
最後に伝えたい思いを何とか気力で伝える。
「ねぇ、愛しているわ。
この世の誰よりも何よりも。
私の半身。
私のすべて。
愛おしい旦那様。」
精一杯の笑顔浮かべろ。
彼が何より好きだと伝えてくれた笑顔で。
最後の顔は、彼の好きな顔をしていたい。
「僕もだ。
生涯ただ一人の伴侶。
死んでも、、、
いや、来世でも君だけを愛しているよ。
愛おしいお嫁さん。」
あぁ、
あぁ、
彼が答えてくれた。
返事をしたい。ただもう声が出ない
少しでも彼のそばに寄りたい。
動かすことのできる手を懸命に伸ばす。
彼も伸ばしてくれているのが見えた。
こんな時でも同じ考えなのだと少し嬉しくなる。
「手を、、、つ、な、、いで」
「はな、、さないよ、、、」
固くお互いに握りしめあう。
そして、、、。
お互いに最後に目に入ったのはお互いの笑顔であった。
”どうか、どうか、いるかもわからない神様。”
”人生で一度も助けてくれなかった神様。”
”最後のお願いですから”
”私のことはいいので、彼を、私の旦那様の来世が幸せににあふれることを祈ります”
”どうか、どうか、お、、ね、がい、、しま、、、す”
そう願いながら、私は息をひきとった。