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僕と蛇口と光

博物学で著名なダーウィンは、進化によって生物の多様性を理解した。

古典力学の創始者ニュートンは光学でも顕著な功績を残した。


有名な偉人や歴史に名前のない偉人たちのお陰で今の僕がある。


果たして、僕はナニを残せるだろうか。

浴室は光に包まれた。白色とも黄色とも、緑色ともとれる光。1種類の光なら0.57μm程度の波長なのだろう。不思議と落ち着いて思考していた。

浴槽もシャワーも、何も見えない。温かく優しい光が広がっている。ただ肉体の感覚だけは残っていることが、何とも空々しい。


ふっと、体が宙に浮く。徐々に空々しい感覚さえなくなっていく。ゆっくり、ゆっくり。ゆっくり、ゆっくり。感覚も思考も、何もかもが遠退いていく。


ーーーーー僕は汗を流すためにいつも通り髪を洗っていた。シャンプーがお湯に流れると、入れ換えたばかりのボディーソープの泡が体を覆った。何も変わらないいつも通りの日曜日の夕方。浴槽では、今日も10余年つれそったアナコンダの富江が口を開いていた。

シャワーのお湯はいつもより勢いよく出ていたかもしれない。富江の口はいつもより開いていなかったかもしれない。もしかしたらいつも通りではなかったかもしれないーーーーー


浴槽に足をかけたところで記憶は終わっている。そこからは何も思い出せない。思い出す気力もない。

徐々に記憶も薄れていき、いつとなく0.57μmの光が全てを包むと、僕は何者でもなくなった




はずだった。全てが夢だったように僕は目が覚めた。そこにはもう0.57μmの光はない。道のような開かれた地面に横たわりながら、広葉樹とイネ科の草、遠くの山を見ていた。山には見覚えがない。富士山でもキラウエア山でも、エベレストでもないだろう。不意に空を見上げるとまだ明るいのに月が見えた。2つ。月と月の間を何かが飛んでいる。大きな尻尾をうねらせながら、その翼は優雅に羽ばたいている。絵に描いたドラゴンそのものだ。



これがもし夢ではないのなら、僕はもう地球には居ないのだろう。

続くのかなこれ

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