死のドレスアップ
失踪してしまいすいません!!
次の話は速めに出します!!
「征け」
「チッ」
目の前に展開された圧倒的数の暴力に軽くめまいと舌打ちをしつつ、戦況を冷静に分析する
見たところ胸から放出されたのは、先ほど戦闘を繰り広げていたゾンビモドキと同質のもの、だが、その種類が異常がであった
人間はもちろん、トカゲ、ヘビ、虫から熊までバリエーションに絶えない
「夢の国のパレードかよってか、まったく嬉しくねぇ」
近づいてきたものを片端から斬り、蹴り、とにかく距離をとる。正直、この物量は今の私にはどうしようもない
魔力感知でテルス達のおおまかな場所はわかっている。だがかなり遠い、おそらく全力のテルスでも3分はかかるだろう
だが逆を言えば、それまで耐えればこのゾンビモドキ共を一掃できる
そうなれば
「『龍気顕性』、『部分強化』!!」
ノースとの戦いからある程度回復した龍気を使い、目と足の二つだけを強化する
瞳孔が細長くなり、視界が開け、ただでさえ動きの遅いゾンビモドキの動きがさらに遅くなる
そして、強化された脚力がその“遅い世界“の中で、普段通りの動きをさせてくれる
瞬く間にゾンビモドキを殲滅し、私はどこか満足気な顔のラプティスに攻撃するが、軽く受け止められてしまう
「・・・・・・・・・うん、いい、よい強さだ人の子。 名を名乗ることを許してやろう」
「ラテュロスだ───────というか、そんなに余裕ぶってていいの? お仲間はもういないようだけど」
「ふっ、なに、代わりはいくらでも作れる」
「なら何度でも潰す、『火炎』」
離れるついでに放った炎で牽制しつつ、もう一度構えをとる
だが、ラプティスは満足そうな顔を崩さない
「やはり人間は厄介で、恐ろしい。すぐ成長する、すぐ新しいものを生み出す。そして何より───────お前のような突然変異が生まれやすい。“我ら“に対抗するような、そう───────“英雄“が」
「・・・・・・・・・へぇ、“魔人“とか大層なこと言ってたけど、意外にも人間を評価してくれるんだな」
「だからこその”魔人”なのだ、我らは学び、次へ繋げることのできる。そう・・・・・」
そこでラプティスは一度言葉を切った
直後ラプティスの背後から、駆けつけたテルスが落雷のごとき勢いで槍を振り落とす
「人間のようにな」
だがそれを、ラプティスは私から視線をそらすことなく、反応し、その大剣で軽々と防御して見せた
それに追従し私も攻撃する。ラプティスの両腕は塞がっている
剣が腹に突き刺さる───────かに見えた
「なっ────────口!?」
みぞおち辺りを狙って放った剣撃は、突如として現れた裂け目のような口が受け止め、そのまま剣を噛み砕く
「クソッ・・・・・・・・・・・!!」
即座に新しい武器を取り出し、体勢を立て直す。
口が生えたとはいえ、この間合いではラプティスも自分の得物である大剣はふるえない
「攻めきるぞ!!」
「はい!!」
私とテルスがそれぞれの武器をラプティスに突き立てる。そして、それに合わせるように、それもまた発動した
「「「「「「「「「『■』」」」」」」」」」
「ぎっ・・・・・・・!!」
「うっ・・・・・・・・・・!!」
その瞬間、私とテルスは同時に顔をしかめ、遂にはラプティスから弾き飛ばされてしまう
なにが、起きた?
少しぐらつく視界のなかで、崩れた体勢を直す
なにやら大量の声のようなものを聞き、それに体が反射的に危機感を覚え、意思とは関係なく後退した。と、今の自分の状況を端的にまとめ、再認識する
視界が安定してくると、奇妙な光景が目にはいる
いつの間にか現れた魔獣達が、ラプティスに集まって、いや吸収されている
「ふむ、とっさに『声』まで使わされたか、やはり、貴様らは”英雄”になるもの。本気を出さねば食われるのはこちらか」
何か、何かがマズイ!!
『禁庫』からフック付きのワイヤーに変形させた”クビカリ“をテルスに引っかけ、一気に引き寄せ離脱する
その間にもラプティスの魔力は加速度的に上昇し、とうとう周囲の植物にまで影響を与え始めたその時
「どうか、この姿を試すくらいには耐えてくれよ。『神衣妄縫』──────『胎臓界・模造騎鎧』」
その瞬間、圧倒的な魔力の解放と共に、“魔人“が、その本性をさらけ出した
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突如発生した爆発で、軽く数メートル吹っ飛ばされる。とっさに防御を張っていなければ、そのまま消し飛んでいただろう
「・・・・・・・・ありがとうございます、姉御」
「今は目の前の敵に集中!! アイツとんでもない化け物になりやがった・・・・・!!」
「ええ・・・・・こんなおぞましい電波初めてですよ」
視界が悪い。おそらくラプティスの魔力が、視認できるほど濃度を増しているのだろう
だが、だんだんとその全体像がつかめてくる
その姿は先程とはうって代わり鎧に包まれていた、最も、肉と骨でできた悪趣味なものだが
だが纏っている高密度の魔力が、その不気味な姿以上に、その危険度を雄弁に語っている
この時点で“逃亡“の選択肢は消え去った、先程までならまだ可能性があったが、ここまで強くなったなら、万が一の可能性にかけるしかない
「・・・・・・・・・テルス、“対格上“陣形でいくぞ。油断したら・・・・・・わかるな?」
「・・・・・・・はい」
「────────さあ、この力を、存分に試させて貰おうか」




