災厄の子
今回も遅れてすいませんでしたぁぁぁぁぁぁ!!
テルスはイライラしていた
テルスは、自分のことを器用ではないほうだと認識している
これは姉御、ラテュロスに言われた頃から意識しはじめて、城塞都市で様々な人と触れ、話し、見て、その経験を元に客観的に自分を見たときに気づいたことだ
だから正直言って────────こういう状況というのは非常に困る
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
そう思考しながら、まるで魂が抜け落ちてしまったのように黙りこくったノースを見やる
本当に、こういう時に気のきいた一言でも出せれば楽なのだが─────────
こんなノースを見てなぜイラつくのかと思うだろう、無論最初は気をつかっていた。だがこうもずっとうじうじされると、苛立ちが勝る
「─────────おいノース」
「・・・・・・・なんだ」
パシン
乾いた音が一つ鳴る。少し赤く腫れた顔をノースが撫でると同時に、胸ぐらをつかみ顔を近づける
「そのような女々しい態度で同情を誘うのは結構だが、私はお前の今の気持ちはわからんし知りたくもない─────────だから言おう、後にしろと」
「・・・・・・・・・・ずいぶんな、物言いだな。ではなんだ、この感情を殺せと? 仲間へのこの思いを・・・・・・」
「そうだ」
ノースの詰まるような声に、間髪いれず言葉を返す
「泣き言も悲しむことも、仲間の死を悼むことも後で出来る。でも、目の前の敵は今でなければ倒せないのだと───────そう思えば、悲しみもマシになるだろう」
「・・・・・・・・・・それは、お前が別れを知らないから言えることだ。決定的な、心の拠り所との別れを」
「さっきも言ったが、そんなものは知らんし知ろうとも思わない。お前の強さが有用でなかったら、とっくに見捨てている」
「・・・・・・・・・お前、ロクな死に方しないぞ」
「お前が言えたことじゃないだろうよ」
私の言葉に、ノースは苦笑し、あきれたような声音でそう言う。それにあっけらかんとした回答を返し、そこでやっとノースの胸ぐらを離した
尻餅をついたままのノースを無視して歩きだす。やっぱりこういうことは向かないと思いながら
でも、後ろから感じる気配には、どこか感謝の念が込められていた気がした
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一方、仮拠点では
「────────テルス達の方も終わったみたいだな」
光影絵からの映像でテルス達の快進撃を見ていた私は、ちょうど片付け終わった仕事を確認する
「終わったのか?」
そう問いかけるのは、一応洞窟外の見張りを任せていたアスピダだ。私のサポートをしていたパノプリアが呼びに行っていたらしい
「まあ、ボチボチって感じかな。いまから報告するよ」
だがまずは───────────
「んぐ、・・・・・・・・ああー、生き返るぅぅ」
私は『禁庫』からボトルを取り出し、その中身を一気に飲み干す。
中に入っているのは米麹製の甘酒、同時思考でつかれた脳に、ブドウ糖とその吸収を助けるビタミンB2が染み渡る。
と、同時に伝えるべきこともまとまったので、目の前で緊張した面持ちの二人に、今の状況を説明する
「まあとりあえずわかったことが二つあるけど、良い方と悪い方、どっちから聞きたい」
「じゃ、じゃあ良い方から・・・・・・」
「わかった。良い方は、ゴーレムの修復ができたことだ、連絡システムも生きてた」
「おお!! じゃあ早速連絡を──────」
「悪い方は、通信システムが妨害されて、起動していても使えないってことだ」
少しの沈黙が広がった
「りっ、理由はわかってるのか?・・・・・・・」
「十中八九結界に干渉されたな。試験会場を覆ってる大結界」
「ハイ!? あれって一級の魔術師が三人がかりで作った超高度な結界なんじゃなかったか!?」
結界系統の魔法は光魔法の専売特許なとこがあるためか、使い手であるアスピダが顔を青くしている
まあ気持ちはわかる、ほぼ確実に自分より格上な魔術師が複数人で組み上げた結界が干渉・改変されたのだ。それだけで敵のレベルの高さがわかる
「類似ゾンビについてはわかったの?」
「──────────これを見てくれ」
パノプリアからの質問に、私は一枚の古びた本の1ページを見せる
「──────────こっこいつは!!」
「今までの得た情報と魔物図鑑の情報から、多分敵はこいつを利用している可能性が高い」
そこに描かれていたのは、紐のような生物であった。白い1本の紐、その絵の上に、この生き物の名と思わしき文字が書かれていた
その名は───────────
「纏蟲───────────世界に五種のみ現存する、寄生型の魔物・・・・・・・・忌まれるべき災厄だ」
この章の終わりに設定集を出します。私も混乱してきたので・・・・・・・・




