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勝算

「誤算だったな・・・・・・・・・まさかお前も影魔法を使えるとは」


「私のはあくまで移動用だがな、それにしても私までダメージを受けるとは・・・・・・・・こりゃ要改善だな」


ラテュロスは数回斧を振った後、その手から斧が消える


「・・・・・・・・・・物体納系の能力(スキル)か?」


「ああ、『禁庫(きんこ)』っつうんだ、まあ容量はないけどな─────────それにしてもあんたの()()、結構不味いんじゃないの?」


ラテュロスが指差した場所は、先ほどのラテュロスが斧撃で爆撃した場所であった


一部は炭化し修復不可能な傷に見えるが、ノースは薄ら笑いをしながら、自らのポーチから小瓶を取り出し、それを振りかける。すると


グジュ、バギ


骨が軋み、肉同士が擦れ合う不気味な水音と共に、ノースの腕はまるで何事もなかったかのように完治していた


ノースは治ったかを確かめるように腕を上下に振ると満足そうに


「・・・・・・・・・・よし、動く」


「───────────────なるほど、回復薬か。それもかなり純度が高いな、いくらしたんだそれ?」


「さあな? 少なくともコネなしで手に入れられるもんじゃ・・・・・・・ないッ!!」


爆撃のような音と共にノースが踏み込む。


風を断ちきるがごとき大鉈の一撃を、ラテュロスは《魔力感知・極》で何とか察知し、ギリギリで避ける


そのスピードとパワーに、ラテュロスは改めて舌を巻く


「─────────ヤッバぁ。その図体で速すぎだろ!!」


まともに打ち合っては勝てない、獣人とはいえラテュロスも所詮は小娘なのだ


故に


「ズルさせて貰うぜ──────────『禁庫』」


ラテュロスが虚空に斧を伸ばすと、斧が吸い込まれるように消える  


そしてその代わりと言わんばかりに、ラテュロスは『禁庫』の中に手を入れる


「解放。“眼型遠隔監視ユニット(ハンター・アイ)“&”二対式不定形小太刀(カリクビ)”」


『禁庫』から放出された大量の眼球と、二対の黒い小太刀


ノースの緊張感が一段階上がる、だがそんなものは、ラテュロスには関係はない


あるのはただ、"効率的な殲滅"。それのみである


「フゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・・」


息を吐くと同時にどんどん体の重心を下げていく


小太刀は握る手は次第に開いていき、遂には赤子がするような、握りとはとても言えない()()()へと


体の筋肉は徐々に緊張を忘れ、少しずつ、体を支えることすら忘れていく

 

そして、終わりは突然訪れた


ラテュロスの体はまるで糸の切れたマリオネットのように、体全体の力が失われ落下する


そして、ノースもそれを見逃さない


大鉈を振りかぶり、今度こそ殺すという意思を込め、全身全霊の一撃を放つ


だが、その行動をラテュロスが極限の集中に入っていなかったからこう言っただろう───それは"悪手"だと


ハエすら殺せぬまでに大鉈が遅く見える


そして、それを迎撃しようと体に力を入れようとする自分の動きは、更に遅く感じる


猫獣人であるラテュロスは、そこまで力が強い訳ではない


おそらくノースと比べれば、文字通り子供と大人の差だろう


だが、だから(力が弱い)といって猫が弱いのか?


否。断じて否である


思い出してほしい


荒野(サバンナ)密林(ジャングル)。いずれも頂点捕食者は猫科で占められている


彼らの武器は力にあらず


ギリギリまでの極限の脱力による。圧倒的初速


つまり──────()()()である


ラテュロスの体が軋みをあげる


急激な筋肉の稼働。体の前進。そしてそれに伴う強烈な空気抵抗


だがラテュロスはその壁を用意に越え、ノースの大鉈をくぐり


そして、死角(急所)へと


そして、そこまで勢いを体全体の回転により刃にのせた。小太刀による超速二連撃


("廻刃連断(かいじんれんだん)")


決まった。入る


そう、決まっていただろう。相手が、ノースでなければ


最初に違和感に気づいたのは技を繰り出したラテュロス自身


(───────浅い!!)


ラテュロスの一撃目は、ノースが後ろにステップしたことで致命傷をはずされた 


(だがそんな状況のための──────本命の二撃目!!)


一撃目の回転を喰らい更に勢いを増した二撃目が、ノースの頭を狙い打ち出される


だが、その必殺の一撃は虚しくも空を裂く


(なっ・・・くそ、こいつ影の中に───!!)


二撃目が当たる瞬間。《影海(しょうかい)》に足だけを入れるで照準(ミート)をずらされた 


"廻刃連断(かいじんれんだん)"は絶大な威力を誇るが、その分技の後の隙も大きい。


ノースが体勢を立て直して攻撃するくらいは


だが、ここで終わるラテュロスではない


「うっらぁぁぁぁぁ!!」


途端に訪れる、横からの衝撃。だがそれはラテュロスの求めていたものだった


風魔法である。とっさに風魔法を発動させ、何とかノースの一撃を食らうことは防げた。まあ多少ダメージは受けたが


おそらく、一度でもノースの攻撃をまともに受ければ自分は大ダメージをうける


ラテュロスはその直感があった、だからこの程度のダメージは十分許容できる


問題は、先ほどの一撃を防がれたことだ


もう隙は見せてくれないだろう


だが─────────────勝算はある


"廻刃連断(かいじんれんだん)"はその勝算のひとつだったが、うだうだ言ってもしょうがない


「頼むぜオプロ・・・・・・・・」

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