パーティー
「ハッハァ!! お前、前衛に後衛だけじゃなくて武器のメンテに料理まで出来てオマケに美少女って、いくらなんでも属性盛り過ぎたろ!!」
「うるせーな・・・・・・ そんなに褒めてもなにもでないぞ? 後で無料でメンテしてやる」
「よっ、ラスちゃん太っ腹!!」
先程の険悪な雰囲気は何処へ捨てられたのか
ラテュロスに肩を組む鎧────アスピダと、それを囃し立てる銀髪赤眼のオプロ。そして何故か自分の横でパンをむさぼっている白ローブのパノプリア
以上三人のパーティーにすっかり溶け込んだラテュロスを見て、テルスは呆れ半分、複雑半分の目を向ける
「おいオプロ、姉御に馴れ馴れしすぎ。私に変われ」
「欲望が前に出すぎだろ、それにこれは入団試験みたいなものだ、誰もが通る道なんだ」
「・・・・・・変質者」
「辛辣!!」
馬車の中は半ばパーティーのような混沌とした雰囲気になっていた
だが、だからといって全員が気を抜いてる訳ではなく、全員が適度な緊張。即座に行動できる体勢を維持していた
現に───────
「よおぉぉ、ニュービ・・・・い!?」
「「「「「動くな」」」」」
突如魔方陣から現れた縫いぐるみのようなUN KNOWNにも、全員がノータイムで魔法や刃を突きつけた
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「で、どうするよこいつ」
荒縄できつく縛りつけた縫いぐるみを見下ろしながらラテュロスは全員に質問する
「魔獣なら魔核取り出そうぜ、このサイズなら小石位だろうが財布の足しにはなるだろ」
「「「アスピダに賛成!!」」」
「ちょっとまてやぁぁぁぁ」
縫いぐるみが虚しい咆哮をあげ、こちらをキッと睨み付ける
「俺はこの試験の案内するための“ゴーレム”だ!! さっさとこの縄ほどかねぇと全員失格にするぞ!!」
その言葉に半信半疑な反応をしながらも、臨戦態勢のままゴーレムの縄をほどく
「たく、礼節の欠片もねぇ奴らだな。おっちゃん寂しいぜ・・・・・っと話が逸れたな。改めて、ようこそ新星ども、試験へようこそ。先程言ったとおり俺はここの案内人、ゴーレムのプラズマだ」
見た目の可愛さとは裏腹な口の悪さに全員が少し面食らうが、試験という単語に一気に全員が顔を引き締める
「案内人ってことは、あんたが会場につれていってくれるのか?」
アスピダのその質問に、プラズマは小馬鹿にしたような表情を向ける
「何寝ぼけたこと言ってんだこの三白眼チョビ髭ジジイ────────試験はもう始まってるぜ」
「「─────!! 全員馬車から逃げろ!!」」
プラズマの意味深な言葉と共に、そう叫ぶんだのテルスとラテュロスの二人
残りの三人に驚く暇さえ与えず、全員をタックルの要領で馬車の外へと突き飛ばす
そして、全員が馬車の外の宙を舞った瞬間
ドガァァァン!!
落石と聞き違えるような轟音を響かせ、巨岩をそのまま削りだしたような大剣が、馬車を押し潰した
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「ッッッぶねぇぇぇ!!」
ドサ!!
馬ごと押し潰された馬車を見て、あと数秒気づくのが遅れていたら・・・・・・そんな最悪な想像をラテュロスはしてしまう
すると、馬車を潰した大剣がひとりでに動き出す
それと同時に、その剣の持ち主も現れた
軽く車の車体位は有りそうな厚くて巨大な鱗を鎧のように着込んだ、トカゲ、いや、サイズ感を考えればさながら恐竜である
まあ、尻尾に大剣が生えているという異形の姿を除けばだが
ほかにも、蟷螂。鎧鼠。蛙。と、まさに魑魅魍魎といった風情だが、この程度のことで狼狽えていては、ギルド上位者は夢のまた夢だ
「いくぞ!! B作戦だ!!」
パーティーの形式上のリーダーであるアスピダが、全員に号令を掛ける
ここに来るまでに、一応の手札の開示や、立ち回りは話し合ってある
そしてB作戦は、対多数を目的としたフォーメーションであり、『完全殲滅』の合図でもある
先鋒は──────
「どぅおおおりゃぁぁぁ!!」
向かってきた魔獣に対し、雄叫びを上げ、背負っていた巨盾を前につき出すアスピダ
ガアン!!
轟音を響かせ、数匹の魔獣と正面衝突する
だが、アスピダは待ってましたと言わんばかりに、魔法の詠唱をする
「AOE、光柱!!」
アスピダに止められた魔獣達を、円形に光が包み込む
断末魔が途絶えた後に残ったのは、黒焦げになった残骸だけであった
「|全体強化!!」
間髪いれずにアスピダが次の魔法を詠唱すると、先程とは打って変わって、アスピダを含めた全員が優しい光に包まれる
「バフサンキュー!! 次は────────俺だね」
オプロが短い謝礼をアスピダに伝えると、おもむろに自らの腰回りに手を入れる。
そしてそこから取り出したのは
銃
そう、その手にはこの世界にはあまりにも似つかわしくない、黒光りするリボルバー二丁握られていた
「BAN!!」
撃鉄のぶつかり合う音と共に、黒鉄の弾丸が全弾。12発が一斉掃射される
だが、その弾は一部の魔獣を仕留めたが撃ち漏らしがまだ数匹いる
リボルバーはリロードに時間がかかる。魔獣の身体能力ならこの距離程度造作もなく詰めることができる
だが、オプロは静かに笑うだけで焦ったようすは微塵もない。そして、それはハッタリでもない
ダン!! ダン!! ダン!!
魔獣がオプロの間合いに入った瞬間、外したはずの弾丸が、魔獣の弱点である魔核を正確に貫いた
「ほら、最後は君だよ。パノ」
「わかってる!! もうアイツは私のものだから!!」
オプロとは反対の方向では、異様な光景が繰り広げられていた
「グゥゥゥギャァァァァ!!」
魔獣が・・・・魔獣を襲っている
魔獣同士の争いは珍しくもなんともないが、これほど洗練された群れ、中でもそのリーダー格が同士討ちをすると言うのは
そのリーダーが生命を保てなくなるほど飢えているときか──────人為的なもの以外あり得ない
憐れ、その人形と化した魔獣は馬車を破壊したあの大剣蜥蜴だ。その変質した己の力の象徴を仲間に振るう。まさに屈辱だろう
だが、そんなことは主人─────パノプリアには関係のないことだ
数秒後には、襲ってきた魔獣の全てが地に伏し。死体の山が形成されていた
「うわー、私ら出番ないじゃん・・・・・」
「そうですね・・・・暴れたかったのに」
不満げに溢す二人だが、実際にはこのパーティーの統率力、バランス力に舌を巻いていた
「これなら・・・・・・勝てる」
ラテュロスは確信と共にそう呟いた




