到達
・・・・・・(눈_눈)
クロスボアの種族能力を奪った後、剥ぎ取り作業を終えたラテュロスは、食べる分だけを残し、残りを干し肉にし保存する
朝食を見た二人は仰天していた、それはそうだろう、おそらくだが何ヵ月ぶりの肉なのだ、肉が溶けるように消費されていった
そして食べ終わると、次は森を抜けるために荷物をまとめ歩き出す
途中何体か魔獣にあったが、漏れなく全員の腹に収まった
そして、一時間後
「私を舎弟にしてください」
(どうしてこうなった・・・・・・?)
何故か、テルスに弟子にしてくれと土下座されていた
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なぜこうなったのか?
こっちが知りたい!!
なんか魔獣を倒していたらいきなりこうなったのだ
「えーと、とりあえず落ち着いて・・・・・」
「落ち着いてます、なので舎弟に・・・・」
「お前キャラ安定しないな!!」
傲慢だったり気弱だったり、かと思えば押しが強くなり
もう訳がわからない
ユダは助けるどころかニヤニヤして面白そうに見るだけだ、後でコイツは飯抜きに決定だ
まあ100歩譲って舎弟にするのはやぶさかではない、やぶさかではないのだが
「えと・・・・・ まずどうして舎弟になりたいの」
「強くなりたいんです、あと貴方に憧れて・・・・・・ 駄目、ですか・・・・・?」
「うっ」
そんな捨てられそうな子犬みたいな目をしないで欲しい、こっちが悪いことをしてるみたいだ
「でっでもさ、こういのってもっといろんなエピソードがあってだね、あっ!! それともあのときの何でも言うこと聞くって約束気にしてる? あれお前があの時の態度のままだったときの保険のつもりだったし気にしなくて・・・・」
「そういう訳ではありません、私が舎弟になりたいからお願いしているのです!! ですから!! どうか!!」
「・・・・・・ワッ、ワァァァァ!!」
数分後、ラテュロスは結局テルスの熱に負け、テルスは晴れて、ラテュロスの舎弟になったのだった
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(やった!! 舎弟になれた!!)
そう心の中で乱舞するテルスは、ここまでの経緯を思い返した
初対面は最悪だった印象だった、今思えば、あんな態度をとった自分をぶん殴ってやりたい
だが、ラテュロスさんはそんな自分にも分け隔てなく接してくれた
これで惚れるなという方が無理なのだ
さらにその思いを助長させたのが、その圧倒的強さ
約一日共に過ごしたが、巧みな武器術や武術に未来予知のような回避、ここ最近は魔法すら使っていない
それに
(何故か、この人には惹かれるんだよな・・・・)
なので、行動に移し成功させた
今は隣を歩き、どこか疲れているラテュロスさん、いや
「ラテュロス様、どうかしたんですか?」
「様!? いやさすがにやめてよ恥ずかしい!!」
「で、でも舎弟ってそういうものじゃ」
「とはいえ様はない!! せめて別のにして!!」
「では・・・・・」
テルスは考える、この人にあう最高の呼び名を
だが、自分の足りない頭では、様以外には思い付かない
が、ふと、ひとつの呼び名を思い付く
そして、それはそのまま口からこぼれでて、言葉としてラテュロスに伝えられる
「・・・・・・・兄貴?」
その言葉をラテュロスと、理解したテルスの間に変な空気が充満する
やってしまったと後悔するなか、恐る恐る顔をあげると
ラテュロスさんが、苦笑しながら優しく語りかけた
「・・・・・・兄貴、か・・・・ せめて姉御か姉貴にしてくれ、それならいい」
「!! はっはい!!」
この時、テルスはあまりの興奮に気付いていなかったが、姉貴呼びを許可したラテュロスの顔は、懐かしさと苦々しさを混ぜたような、複雑な顔をしていたことを
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ユダは今のこの状況が面白くてしょうがなかった
ラテュロスがおろおろしたり、テルスが豹変したり
しかも他人事なのでいくらでも笑える
最高すぎるというものだ
するとどうやら話が纏まったらしく、テルスがシナシナしているラテュロスを姉御姉御といいながら乱舞している
その光景に嗜虐心が沸いたユダは、便乗してお嬢と言ってみる、今日の飯を抜きにすると言われた
「いや、待ってくれ!!」
「待たない、今日は飯抜きだ」
「頼むから許してくれよぉぉぉ、お嬢!!」
「だからお嬢って言うな!!」
「姉御おかわり!!」
何とか許しを得ようと謝り倒すユダ、そんなユダになんだかんだ飯を渡すラテュロス、空気を読まずおかわりを頼むテルス、その家族のような温もりに
(っと、危ない危ない、駄目だな、こりゃ・・・・)
おそらく、明日には町につく頃だろう、そうしたらこいつらとはお別れだ
今夜テルスにも説明しなくてはならない
なのだが
(なんだろうな・・・・・ この寂寥勘は)
その何年ぶりかの感情に困惑しながら、その感情を流し込むように手渡された料理を豪快に口へと運んだ
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翌日
三人の間には何か言葉にしきれないような気まずさが漂っていた
いや、実際は私とユダの間に、だ
実のところ、昨日テルスにユダがついてこないことを伝えたら
『そうですか、私は姉御といればそれでいいので』
と、ユダは冷たく言われてしまったのだ、そのせいで気まずいの何の、これでは別れもろくに言えそうにない
が、どうやら天はそれを許さないようだった
歩いていると、不意に森の木々がはけ始め
気付けば、足元は丘になっていた
そして、目を少し下におとすと
「おお!!」
「わぁ・・・・ すごい!!」
「やっとついたな」
奴隷商の壁を軽々と越えるほどの大きさの、堅牢で無機質な造りの城壁に、所々空いている狭間からは大砲が飛び出ている
城塞都市カルカス・ソーナー
ラテュロス達の、三日間の旅の目的地である




