食事
最近筆の乗りがいい!!
(黙っちゃったけど魚嫌いだっかな?)
よく考えたら自分を殺しかけた奴の飯なんて嫌だったかと、気遣いが足りなかったとラテュロスは反省する
が、どうやら杞憂だったようだ
どこかよそよそしく串を受け取ると、それを勢いよく食べ始めた
口を動かすたび、テルスはまるで子供のように目を輝かせる
まあ実際子供なのだが、さっきとのギャップがすごい
「骨が刺さるぞ、たくさんあるからそう急ぐな」
とはいえ、こうも美味しそうに食べてくれると作ったこっちも嬉しくなる
「おっ!! よく食ってるな、うめぇだろコイツの飯」
そう声をかけてきたのは、さっき折角捕った魚を全部食べてしまったユダだ
「どう? 良さそうなの捕れた?」
「そりゃもちろん、食った分は働くさ、それにしてもお前料理できたんだな、キノコとかの山菜とかの見分けも慣れてるみたいだし」
そう言われて、ラテュロスは誇らしげに笑う
(魔王就任前は野宿が基本だったからなー 就任した後もキャンプが趣味だったし、それが役に立って良かったぜ)
そうやって何も言わず笑うラテュロスを不思議そうに見ながら、狩りの戦利品を地面へと置く
そこには兎などの普通の生物は勿論、体の一部がナイフのようになっている兎や、体が赤い甲殻に覆われたとかげなどの、いかにもなファンタジー生物も混じっている
「へー 魔獣も多いな」
魔獣
それは通常ではあり得ない生態をを持った、生物に限りなく近いなにかだ
通常魔力を持つものは人間種だけだが、魔獣は違う
魔獣は高濃度の魔力が残存する場所、そこに存在する生物が突然変異を起こして生まれる
体の構造そのものが変わるわけではないが、魔獣となると魔核というものが生命器官備わる
魔獣は人間と違い魔力を自ら生み出せないが、この魔核が、体に入った物質を魔力に変えたり、空気中漂う魔力を吸収し自らの魔力にしたり出来る
そんな特性を持っているためか、魔核は高値で取引されるのがほとんどだ
ここにいるのは、小石ほどの魔核しか持たないようだが
「魔獣が出るってことはここは相当魔力濃度が高いな、だが、それはそれでいいんだけどな」
「? それまたどうして? 魔獣何て戦わないほうがいいだろ」
「・・・・・・あぁそうか、お前らはギルドを知らねぇのか」
「ギルド?」
「あぁ、俺の目的地であり、お前らの目的地でもある」
そんな意味深な言葉と共に、ユダは腰をおろし話し始めた
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ギルド
それは、腕利きたちに仕事と報酬、時には権力すら与えるほどの権限と規模を誇る一大組織
ギルドは0~10までの階級制で、同時に歩合制でもある
依頼人がギルドに依頼し、報酬の金額や物品をギルド側が受け取ることで、それを難易度にあった階級にクエストとして張り出し、ギルド会員はこれを成功させることで得られる報酬で生計を立てる
とはいえ、ギルドも戦闘だけではなく、様々な分野の専門ギルドもあるらしく、それらもすべてひっくるめてギルドと呼ばれているらしい
ユダが言ったのは、その中でも魔獣の素材を高値で買い取るギルドもあるからという意味らしい
「お前らが目指すのは、その中でも総合ギルド、実力者の巣窟で一番下っ端の10級でも難しいが、その分手厚い保証と報酬が見込める」
「でも、私らこの前まで奴隷だったんだよ? 仕事なんて貰えるの?」
そうすると、待ってましたと言わんばかりの顔で声高に説明し始めた
どうやら先程言っていた手厚い保証とやらに、人権の保証と後ろ盾、というのが入っているらしい
「実際、奴隷上がりも多いぞ、何せ成果を出せばどんな悪党だろうが英雄にする場所だ、でも規則も厳しい、破れば永久追放で一気に社会のゴミになる」
「・・・そうなると、かなり強い権力を持つことになるけど、そのギルドは後ろ盾でもあるの?」
「ああ、五大国、過去、悪名高い魔王ペオニアっつーやつを倒した勇者様が建てた国だ」
その言葉にラテュロスはドキッとすると同時に、妙に苛立った
「・・・・・その、勇者って奴らのこと、もっと教えてよ」
「・・・・・・・やなこった」
「どうして!!」
「だってお前、無自覚かよ・・・・・・」
そうして、ラテュロスのことを指差し、呆れたように告げる
「お前、今にも人を殺しそうだぜ、あいつも怖がっちまってる」
ハッとしたラテュロスはテルスの方をみやる
すると、テルスはまるで捨てられた子犬のように、ブルブルと震えこちらをみている
その顔に凄まじい罪悪感を感じ、誠心誠意謝ると
テルスはほっとしたように
「あっ、お気になさらず・・・・・・」
と、魚を頬張りに戻った
「・・・・・お前と勇者の事情はわからんが、俺の勘が、お前に勇者のことを教えたら不味いって警告してるんでな、許せ」
ラテュロスは、何も言い返せず、ただ俯いた
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「・・・・・・だいぶ暗くなったな」
その言葉と共に、ユダが先程取ってきてくれた木の枝の山に火の魔法で作った灯火を当てる
こういう時魔法があると楽でいい
それに、先程みてみたが、ここら辺は木の繊維の密度が高い広葉樹の森だ
針葉樹と違い火付きが悪い分、火が長持ちする
そこに、火の魔法で海水を蒸発させで作った塩を、処理済みの川魚に振りかける
海水の塩は塩辛い程なので、ひとつまみほどで十分うまい
あとは木の枝を削った串に突き刺し、火の近くに置けば
「下準備は完了だな、これで鍋があれば、肉も焼けるんだが」
「・・・・・・鍋があればいいのか?」
「そうだけど、ってそれ!!」
そう言うユダの手には、この森の雰囲気にあったシンプルな鉄鍋が握られていた
ラテュロスは反射的にそれを受け取ると
「お前、これどうした?」
「そこら辺は、飯の時に全員で、そのためにも、しっかりうまい飯を作っといてくれ」
そう言ってユダは、ラテュロスが口を挟む余裕もなく、颯爽と森の中へ行ってしまった
(と、とはいえ・・・・・)
鍋が、手に入ったということは変わり無いのだ、事情も後で話すと言っていたし、ありがたく受け取ろう
そう無理矢理自分を納得させると、鍋に塩を作った時に出来た真水を入れる
その鍋を焚き火へと突っ込むと、あとは沸騰するのを待つ
その間に、袋の中から兎などの野獣を出し、捌いていく
そのなか、ふと袋の中を覗くと
(えっ、こ、これは!!)
驚くラテュロスは袋の中からある一匹の魔獣を取り出す
手に握られていたのは、ネズミ
だが、その手触りと見た目は、冷たく固い鉄のもの、だけでなく、木のようにざらざらとしたものもある
この魔獣の名前はアラギ、通称同調鼠だ
この魔獣は、対象に触れると、その対象の生物としての特徴をコピーし、それを自らの体に反映させることが出来る種族能力を持つ
しかも、その反映された特徴を解除すると、それがそのままの機能を有した素材として剥がれ落ちるのだ
(そのせいか貴重素材を増やすために乱獲されて、絶滅危惧種になってたはずだけど、よくこんなの捕まえたな)
とはいえ、コイツの肉は食えたものではないので、食料
としての価値はないが
(素材としてなら、一級品以上・・・!!)
ジュッ!!
「ん?」
ラテュロスがふと見ると、視線の先では鍋が吹き零れ、火が消えかけていた
「やべっ!!」
それを見て、名残惜しそうにアラギを袋に入れ、急いで鍋に用意していた差し水を入れる
すると、だんだん勢いが収まっていき、ラテュロスはそこに先程捌いた肉と、下処理した山菜を入れる
あとは、塩とさっき見つけたニンニクもどきを入れれば
「ふう・・・名付けて、なんちゃって水炊き鍋ってとこかな」
即席とは思えないほどの豪華な夕飯にラテュロスが満足していると、奥の方からテルスがいそいそと出てくる
だが、ラテュロスの方を見ると申し訳なさそうに鍋に近づく、やっぱり嫌われてるのだろうか
すると別の方向から目を輝くしたユダも出てくる、料理の力は偉大と再確認した気分だ
「あー、じゃあ、集まったし、食うか」
すると、待ってましたと言わんばかりに二人が食べ始めたのを見て、ラテュロスも苦笑しながら、自分が作った即席の鍋をつつくのだった
ギルド関連はこれからも出していきます
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