本部からの人員追加?
ユキちゃん視点
タクトさんがいない、本部から応援は来ない。
49支部のみんなは今にも倒れそうな状態だ。
その中でも特にウラン部長は、寝ずに働いているんじゃないかというくらい働いている。
そのお綺麗な顔に深いクマが刻まれていた。
本当にウラン部長イケメンだよな。なんで恋人いないんだろ。
まぁ、私は断然タクト先輩の顔の方が好みですけど。
さぁ、今日も仕事だ。帰りにタクトさんの所寄れるかな?いや、そもそも今日帰れるかな?
相変わらず、私の回復魔法を求めてギルドには長蛇の列ができてしまっている。
私は、あと何回 回復魔法を使わなければならないんだろうと思いげっそりした。
その時、同じ職員のドンさんに呼ばれた。
「あ、ユキちゃん!ちょっとちょっと!」
ドンさんは「ジャーン」と言って突然私の元に、1人の女性を紹介した。
黒髪のロングヘアーが特徴的だ。濃い黒がギルドの光に照らされテラテラ光る。ああ、黒髪ってのもいいな、すごく綺麗。
背が高くすらっとしてる。私はエルフのくせにスラっと、という体つきじゃないからちょっと羨ましい。
顔はなんだか陰鬱としているが、その陰鬱さもどこか妖艶で、それすらこの人には魅力になっているんだなと感じる。
こんな美人さんが私に何のようだろう?
というかここ、ギルドの中なんだけど?ウラン部長の依頼した応援の職員?
「この子、回復魔法使えるんだって!良かったね!ユキちゃん!」
自分も大変なはずなのに!ドンさん優しいよ!
つまりこの子は本部の応援なのだろう。
「えっと、私はユキって言います。貴方は」
「……マリサ……」
恥ずかしいのかな?ちょっと人見知りが激しい感じがする。
「じゃ、じゃあユキちゃん。よろしく頼むね!」
ドンさんは行ってしまった。
「……」
「……」
ま、まぁ徐々にコミュニケーションを取っていけば……
「あ、あの!質問があります!」
と思ったらマリサちゃんから突然の質問!
「は、はい。どうぞ」
「私の兄は……」
マリサちゃんの質問を遮る様に並んでいた冒険者さんから横槍が入る。
「おい、回復まだか?結構待ってるんだけど」
「あ、すいません!今すぐ!ごめんねマリサちゃん。ちょっと今立て込んでて。仕事終ったらゆっくりお話ししましょう」
「わ、分かりました」
マリサちゃんはすぐ納得してくれた。いい子だ。
「この方を回復すればいいんですね」
「え?」
「水の精霊よ、この者に癒しの恵みを」
マリサちゃんは小さな声で簡素な詠唱をした。
えっ?一瞬で冒険者の怪我が治った!?
「お、今日は回復速度早いな!ありがとう!」
冒険者は満足そうに帰っていった。
「これでお話しできますか?」
凄いな、本部の職員って。
「あ、ありがとう。でもまだいっぱい居て…じゃあ協力して」
マリサちゃんは列を眺めている。
流石にウンザリしたかな?
「分かりました。ちょっと外に行きますね」
そう言ってギルドを出て行った。
あれ?手伝ってくれないのか?
呼び止めに行こうと思ったが、並んでいる冒険者を放っておく訳にもいかない。
回復魔法は魔力や体力を使うので、なんて事ない顔に見えたが、意外に疲れていて、休憩に行ったのかもしれない。
私も魔法使ったら少し休憩するし、まぁ1人回復してくれたしいいじゃないか。
私は次の怪我人に簡単に症状を聞き、報告書用のメモを取った。
いざ、魔法を使わんとしたその瞬間だった。
突然、ギルド全体が謎の光に包まれた。
目も眩む様な光に、ギルド内にいた職員も冒険者も目を閉じたが次の瞬間、
「あ、れ?怪我治ってる」
「え?俺もだ」
「私も、凄い!何で?」
「鷹の爪の新しいサービスかな?」
え?どういうこと?というか私も何だか調子がいい。
溜まっていたはずの疲労感が消えている。
「戻りました」
マリサちゃんが戻ってきた。
「これでお話しできますか?」
もしかして、マリサちゃんはあの光の正体知ってるの?
「マリサちゃん。何したの?」
「えっと、ギルドを囲う様に回復術式を書いて、ギルドの中にいる人全員に回復魔法をかけました」
「う、嘘でしょ……」
大聖女かよ、この子!
本部の応援の子が規格外過ぎるんですけど!
「なんか他の皆さんもお疲れの様でしたので、疲労回復も精霊に頼んでおきました。調子はどうですか?」
陰鬱とか思ってごめん!この子天使だ!!!!
私は思わずマリサちゃんを抱きしめた。
「え、ちょ、ちょっと!は、恥ずかしいです!ユキさん!」
顔を真っ赤にしているマリサちゃん。
めっちゃ可愛い!この子!
「話でも何でも大丈夫よ!今日の仕事の半分以上が終わったから」
「良かった。あのー、私実は兄を探しているんですが……」
兄?兄ってどういうことだろう?
この町に生き別れの兄がいる可能性があるからこっちの応援に志願したとかそういう?
「タクト兄様はどこにいらっしゃるのですか?」
「う、嘘!?タクトさんの妹さん!?」
私はいなくなったというタクト先輩をマリサちゃんと探すため、その日、入社してはじめての半休を取った。
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