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俺に告白って、マジですか?

 南の洞窟に入ってすぐに違和感を感じた。


 活性化していたはずの魔物の動きが沈静化し、洞窟はいつも通りの様相になっている。


 あれ、これはもしかして?と思った。


 洞窟の最深部に行ってみたが、案の定そこには、もう傷ついたドラゴンの姿はなかった。


 「おい、どんだけせっかちなんだよ、あのドラゴン」


 治療はしっかりしたつもりだが、激しい動きをすればまた傷口が開いてしまう可能性もある。いくら傷の治りが早いドラゴンでも、数時間であれほどの重症が治りきるはずがない。


 「……無事だといいな、ドラゴン……」


 ドラゴンが洞窟からいなくなって、南の洞窟の魔物、活性化問題は解決したはずなのに、何故だが俺は寂しさを感じていた。


 家に帰りベッドに飛び込んだ俺は、もはや虚無状態であった。なぜならギルド『鷹の爪』は俺の生活の全てだったからだ。


 それを急に取り上げられたんだ。本当は職探しにすぐに動かなければならないのは分かっているが、そう上手く切り替えられない。


 24時間以上ベッドで過ごしたと思う。疲れていたのかもしれない、横になれば永遠に寝ていられそうな気がした。


 窓から差し込む光がなかったので、、たぶん今は夜だ。


 何かの物音で目を覚ました。


 ノックの音。訪問者?誰?


 誰とも会いたくない気分だったので無視を決め思うとしたが、訪問者はしつこくドアをノックし続けた。


 「はいはい。出ますよ出ます。誰ですか?と」


 そう言ってドアを開けると、そこにはユキちゃんがいた。


 もじもじと何故か顔を赤くしており、


 「あのー、そのー、急に来てすみません!」


 と言った。


 「ユキちゃん。どうしたの?」


 「せ、先輩の事ですから!ど、どうせご飯も何も食べてないだろうと思って……ごはん作りに来ました!」


 「え?うそ?まじ?めちゃめちゃ嬉しいけど、そこまで世話をかけるわけには……」


 「い、いいから先輩は顔洗ってきてください!どうせずっとベッドにいたんでしょう!髪もぼさぼさです!」


 ユキちゃんは半ば強引に家に押し入り、俺を風呂に入れ、ご飯を作り、部屋まで綺麗にしてくれた。


 ユキちゃん、マジお母さん。


 「……おいしいですか?」


 ユキちゃんの料理。うますぎて一心不乱に食いすぎた。感想もお礼も言っていない。


 「めっちゃおいしい!ほんとにありがとう!」


 そう言うとユキちゃんは嬉しそうに笑った。


 「本当に先輩は、私がいないとダメなんですから」


 「あの、ユキちゃん。……俺もう先輩じゃないから、嬉しいんだけど、もうホントに迷惑かけるわけには」


 「先輩は先輩です!先輩となら……私……」


 そう言ったユキちゃんの美しく妖艶な顔にドキリとした。


 あれ?そういえばユキちゃん今日の服胸元緩くない?足も出してるし?


 そしてこれは俺の異変……なんだか体が熱い!


 「ゆ、ユキちゃん?このご飯おいしいけど、食材何入れた?」


 「先輩はきっと栄養不足でしょうから、ドラゴンの肝やマンドラゴラを少々……」


 いや、確かにそれ、体にいいけど、全部下半身にも効くやつじゃん!


 やばい、なんかめちゃくちゃムラムラするし、このままでは親切で来た後輩を押し倒しめちゃめちゃにするという最低の無職になってしまう!


 ユキちゃんはといえば、いつの間にか俺のベッドに腰かけている。肩を軽くポーンとすればスタンバイできちゃうよ!早くそのベッドから離れて!


 「ゆ、ユキちゃん。今日はもう遅いし、そろそろ帰った方がいいよ!夜道は危険だから!このお礼はまた後日、絶対に!」


 そういうとユキちゃんはゆっくりと足を組み替えた。


 「先輩。実は私の家、お風呂が壊れちゃってて。申し訳ないのですが、お風呂だけ借りていってもいいですか?」


 「うっ」


 テントがビンビンでヤバいのにこんな美人で巨乳が壁一枚隔ててお風呂?それはまずくね?


 「ダメ、ですか?」


 「いや、駄目じゃない、駄目じゃない!どうぞ、入ってって!」


 「ありがとうございます♪先輩、覗いちゃだめですよ♪」


 と、ユキちゃんは俺の体をちらちら嬉しそうに眺めながらお風呂に入って行った。


 お風呂の中でも鼻歌歌っている。


 落ち着け、タクト、こういう時は素数を数えるんだ。


 2,3,5,7、11,13。


 「ドンドン」


 こんな時にノックの音が。


 「はいはい、なんですか」


 そう言って股間が爆発しそうな状態でドアを開けると、そこにいたのはウラン部長であった。


 「夜分遅くにすみません」


 「あ、全然大丈夫です」


 平静を装っているが、ウラン部長の前でも俺はビンビン状態のままだ。


 「手短に、要件から話しますと、タクトさんのクビを取り消させると言った件。私の力が及ばず……申し訳ありません」


 「う、ウラン部長!本当に俺のために本部に……」


 「いえ、結局結果がでなければ何もしていないのと同じですよ。それよりタクトさん、なぜずっと内股なんですか?」


 「え、えーっと……俺家ではいつもこうなんです!内股健康法っていうんですよ!」


 「……なるほど。では私も今日から家ではそうしてみます」


 え、やめて。内股のイケメンなんてみたくない!


 「ウラン部長、それは…」


 と俺が言うのを、遮るように部長は言う。


 「安心してください。あなたは私が守ります。働かなくても大丈夫です。私が養います。なんだったら私の家に泊まりに来るといいです。一人暮らしで、部屋はたくさんあいていますから。それなら家賃もかかりません」


 え?なんで?なんでウラン部長こんなに親切なの?なんで?


 「いや、さすがに職場の元上司にそこまでしていただくというのは、世間的にも……それに俺みたいなのがいたら、ウラン部長も家に彼女を連れてきたりできなくなりますし」


 「構いません。だって私が好きなのは、あなたですから。タクトさん」


 「へ?」


 俺はウラン部長の顔を見つめたまま、フリーズしてしまった。端正な顔立ちやで!


 「な、なんでウラン部長がここに!」


 どうやらユキちゃんが風呂からでてきたところだったようだ。


 「それはこっちのセリフです。ユキさんこそなぜタクトさんの家で風呂に?」


 「え、えっと私は先輩にご飯を作りに来て、それで、家のお風呂が壊れてたんで帰る前にお風呂だけ借りようと……」


 「ではもう帰るところですね。ちょうどいいので私が家まで送りましょう」


 ユキちゃんは俺の下腹部辺りを眺め、気のせいか悔しそうに、


 「……はい」


と言って帰り支度を始めた。


 ウラン部長は、


 「タクトさん。返事はまた今度。では」


返事ってどの返事だ!


 二人は俺を残して帰って行った。


 後には下半身の疼きだけが残るばかりであった。

「続きが気になる!」


「面白かった!」


「また読みたい!」


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