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ドラゴン相手なら口説けるってマジですか?


 俺は南の洞窟に着くと、活発化している魔物を避けながら洞窟の最深部に進んだ。


 身体強化で反射神経や足の筋肉を強化しているから、魔物を避けるなんて楽勝。一々相手していたらキリがない。


 洞窟の最深部は天井に穴が開いており、たくさんの草花が生えている美しい場所だ。ドラゴンは空を飛べるので、天井の穴から入ってきたんだろう。この場所を傷を癒すポイントにするなんて、結構おしゃれなドラゴンだ。


 洞窟の最深部には、確かにドラゴンがいた。


 しかし、

 

 「あれ?レッドドラゴンじゃない?」

 

 ゴーレムの視界共有で見たときは薄暗いからレッドドラゴンかと思っていた。

 

 確かに赤色のドラゴンだが、その鱗はルビーの様に輝き、レッドドラゴンよりも遥かに上位の存在に見えた。

 

 「見たことない。新種かな?新種の登録作業面倒なんだよな」

 

 こっちの存在に、ドラゴンはまだ気が付いていない。万全の状態なら、この距離で隠密のスキルを使っていても気づかれていただろう。

 

 しかし宝石の様なドラゴンは、大きく深い呼吸をし、大量の血を流している。

 

 「ケガ、だいぶ酷いな」

 

 俺はドラゴンを興奮させないように慎重に近づいた。

 

 だが、その判断がうまくなかった。気配を消しすぎたせいで、逆に敵と判断された。

 

 ドラゴンは俺に向けて炎を吐いた。

 

 「あっつ!」

 

 いや、これレッドドラゴンの炎の比じゃねぇわ!死ぬ!やばいやばい!

 

 慌ててマジックシールドを張る。

 

 ドラゴン語で交渉開始だ。

 

 「KP'HOIYUGF&R。&)OJPK)P'L=')KOI)IIOIKP」

 

 俺がドラゴン語で話しかけるとドラゴンはきょとんとした顔になる。

 

 それもそのはず。俺は炎を吐きかけられる中、

 

 「美しい鱗ですね。お嬢さん」

 

 と話しかけたのだ。

 

 以下ドラゴン語↓

 

 「お腹すきません?一緒にランチでもどうですか、美しい鱗のお嬢さん」

 

 「……あんた馬鹿なの?」

 

 良かった、攻撃をやめてくれたよ。

 

 「それ、痛くないですか?美しいあなたの体に傷が残ったら大変です。治療させて下さい」

 

 「……もしかして、私を口説いてるの?あんた?」

 

 「お嬢さんがその気ならぜひ」

 

 「ふん、治せるもんなら治してみなさい!この傷は呪いの傷!絶対に癒せない。私は数日後に死ぬ。あなたたち人間は死ぬ場所すら選ばせてくれない!私にここから出ていけ!そう言いたいんでしょ!」

 

 なるほど、確かに傷口に強い呪いの気配がする。

 

 俺はマジックボックスに入っていた聖水をドラゴンの傷にぶっかけた。

 

 すると呪いの気配は一瞬でかき消えた。

 

 「えっ?嘘?この呪い解けるの?」


 ドラゴン目をまん丸くしてめっちゃびっくりしてる。なんか可愛い。

 

 「大聖女から貰った聖水(意味深)ですからね。どんな呪いでもいけますよ。はい、次は傷です」

 

 回復魔法はあまり得意ではないのだが、応急処置くらいは問題ないだろう。

 

 ドラゴンは先ほどまでとは打って変わって、異様に大人しくなり、俺の治療を受けてくれた。

 

 回復魔法で体力の回復は難しい。俺の魔力をドラゴンにそーっと分けておこう。ドラゴンって基本プライドが高いから、過度な治療や魔力の分け与えは嫌がるのだ。だから絶対ばれないように神経を使って……。

 

 一時間ほどで、治療は終わった。最後に薬草を張り付けて……はい、終わり!

 

 「これで大丈夫ですが、しばらくはなるべく動かないようにお願いします、美しいドラゴンさん」

 

 「……リナ……」

 

 「え?」

 

 「私の名前、リナ。あんたは?」

 

 「えーっとタクトと言います。『鷹の爪』の支部で平社員をしています。どうぞよろしく」

 

 「タクト……うん、忘れない」

 

 「えーっと、ちょっとした食べるものここ置いときますね。水はここら辺は豊富にあるので大丈夫ですよね」

 

 「ありがとうタクト」

 

 こころなしか、ドラゴンの、いやリナの俺を見る瞳が先ほどとは違っている気がする。

 

 「すいません。まだ仕事があるので私はこれで」

 

 そう言うと、リナは「キューン」という悲しそうな鳴き声を出した。可愛いなこのドラゴン。

 

 後ろ髪を引かれる思いだったが、他にも山ほど仕事があるので、泣く泣くその場を後にした。後でまた様子を見に来よう。

 

 帰りも飛行魔法で帰ったが心なしか体が重い。

 

 「慣れない回復魔法1時間も使ったからかな?」

 

 帰りは5分もかかってしまった。

 

 「たっだいま!」

 

 疲れているのがばれないように俺はから元気を出してギルドのみんなに言った。

 

 疲れてるのがばれたら、休めや帰れやうるさい。そんなことしたら、みんなの負担が増えちゃう。

 

 ユキちゃんは新人なのに重要な仕事任されてるし、ドンさんは子供出来たばっかりなのに本部に無茶言われてるし、ミーナさんはシングルマザーでいつも頑張ってる。

 

 俺はみんなが大好きだ。みんなのために頑張りたいのだ。

 

 「先輩!」

 

 どういう訳か、元気に挨拶したはずの俺の顔を見てユキちゃんが俺に心配そうに駆け寄ってくる。

 

 あれ?時間鈍化の魔法使ってないのに、なぜか世界がゆっくりだ。ユキちゃんが……ゆっくり……。あれ?俺なんで体が動かない?あれ、俺これ、倒れてるんだ。

 

 「バタン!!」

 

 俺はその日、初めて会社で疲労でぶっ倒れてしまった。

 

 それがあんな結果になるとは、その時は誰も想像もできなかった。

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