俺のあそこに二度も驚いたってマジですか?
「大丈夫ですか!」
「え?きゃ、キャァァァァ!!!!」
「また悲鳴!?な、何があったんですか?」
「何って!それよそれ!股間のそれ!しまいなさい!」
「あ!」
俺はいそいそと近くにあった布を腰に巻いて股間を隠す。
「わ、私に、何か着る物を!!」
姫様は恥ずかしそうに近くにあった布団を引っ掴み、身体に巻き付ける。
「はいはい、用意してますよ」
いつの間にか部屋に入ってきていたノエルが服を渡す。
「僕の服だから、サイズが合うか分からないけど」
姫は慌てて渡された服を着る。
「あ、ありがとう。ちょっと胸がきついけど大丈夫」
ノエルは急にムスッとして喋らなくなった。
俺の服握りつぶしてるし、ノエル……。
俺はノエルが持ってきてくれた服を着ながら姫様に聞く。
「で、なんで悲鳴を?」
「こ、これよ!これ!」
姫様は興奮しながら服を託しあげ、お腹を見せる。
「うわ!」
ちょっと見たい気もするけど、見たら死罪確定!
俺は咄嗟に目を瞑る。
「ちゃんと見なさい!ほらここ!私の身体に、なんでこんな変なタトゥーがついてるのよ!」
薄目を開けて見てみると、姫様のおへその下あたりに、ハート型のノエルが書いた術式があった。
「いやー、僕一応気を遣って可愛くハートの形にしておいたんだけど、気に入らなかった?」
姫様は涙目だ。
「こんなタトゥーしていたら変態だと思われるじゃない!これじゃあお嫁に行けない!!」
「え、だって変態なんじゃ……」
「はいノエル!ちょっと静かに!」
姫様はキッと俺を睨みつけたかと思うと、
「あぁぁん!」
と言って背中をビクリと跳ね上がらせ、息を荒くし出した。
「な、何なのこれ!なんか、急に、お腹が熱い……あなた、やっぱり魔族だったのね!女の魔族も増えてるし!あっはぁ!!わ、私の身体に、何をしたの?」
姫は顔を赤くし、はぁはぁ言っている。
「え、大丈夫か?の、ノエル?これやっぱり瘴気のせいか?」
「いや、瘴気は大丈夫だね。瘴気や余分な魔力はその術式が吸収している。後はその術式に封じられたものを解放するだけ。たぶん今は行き場を無くした瘴気と魔力が術式の辺りを蠢いて身体が熱くなっているんだと思う。大丈夫、心配ないよ」
「どうやって瘴気と魔力を解放するんだ?」
「普通は嗜好品、好きなものとかで発散できるよ。だから自然と日常生活の中で発散するし問題ないかな。でも……」
「でも?」
「なんかちょっと様子がおかしい気がする。最近強い衝撃を受けて、強い感情を抱いたものがあると脳が一時的にバグっちゃって、嗜好品じゃなくてそっちが発散の対象になっちゃう事がある。それだとちょっと面倒かな」
「発散し辛いの?」
「まぁ嫌いなものでも、それが発散の対象になっちゃうからそりゃ面倒だよね。まぁでも最近同じモノに2度くらい驚かされたり、衝撃を受けたりしてない限りそうはならないはず!1度の衝撃じゃそうそんな症状にはならないから、2度。2度も短期間に同じものに驚くなんて、そんな偶然滅多にないし、様子がおかしい気がするのは僕の気のせいだよ、きっと」
「さっきから何をごちゃごちゃと!」
姫様は光輝く短剣をいつの間にか手に持っている。
もしかして、光の剣を出すのが姫様のユニークスキル?
「へーそのユニークって魔力を具現化するのか。初めてみるユニークだね。たぶんかなり珍しい、レアスキルだね」
「な、何故私のスキルを……まさか、あなた魔……」
「とりあえず、面倒だから眠ってもらうね」
そう言ってノエルは魔眼を発動させる。
「そ、その眼!やっぱり!」
ノエルは姫に向き合い、ドスのきいた声で一言、
「眠れ」
と言った。
ノエルがそう言うと、姫様は急に気を失った様にその場に倒れ伏し、そのまま深い眠りに落ちた。
「す、すっご。何?そのスキル」
「魔眼のスキルの一つ。対象を操るスキル」
「最強じゃん!魔眼!」
「まぁタクトさんの魔眼は完璧ではないからたぶんこの能力は使えないけどね。ロンギヌスの槍のコピーはオリジナルよりは能力は劣ってしまう。それは仕方ない。ま、それでも魔眼は使い勝手のいいスキルだと、僕は思うよ」
無詠唱で呪文打てたり、レアスキルの鑑定が使えるだけで破格の性能だからな。
本当にノエルには感謝だ。
「さ、それより彼女をどうするかだ。また目を覚ましたらうるさいよ」
「あー、寝てる間に家に送っていくのがいいと思うんだけど」
「そうだね。僕が魔眼で転移ゲートを作るよ。家はどこ?」
「えーっと、王都かな」
だって姫様だし。
「OK」
ノエルは魔眼でゲートを作り出した。
空間に突然真っ暗闇が出現したみたいな不思議な見た目。
「これをくぐれば王都だよ」
「おお、なんか禍々しくてちょっとこわいな。ノエルも来る?」
「いや、僕はこの領域から出ることができないんだ」
「え、何……」
理由を聞こうとするとノエルは俺の頭をグッと掴み、顔を引き寄せ口づけした。
「!!!!???」
キスを終えるとノエルは史上最強の笑顔を見せる。
「だからタクトさん。絶対にまた僕に会いにきてね」
「うん、俺帰ってくる」
つくづく男という生き物は単純だ。
それまで思っていたことなどどうでも良くなってしまう。
「いってらっしゃい」
「はーい、行ってきます」
俺はバカみたいにヘラヘラ笑って、姫様を抱き抱え転送ゲートに入った。
この時何故俺はもっとちゃんとノエルと話しておかなかったのか?
その後この事を一生後悔することになるとは、思っても見なかった。
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