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【男→女TS】S級冒険者が雑にTSして王女様の影武者になる話【山も落ちも意味もない】

作者: 藤村文幹

タイトル通りの掌編です


「ん、う、うぅん……?」


 目が覚める。ゆっくりと頭を持ち上げると、世界が大きくなった気がした。

 ここはギルド応接室だ。だというのに、サイズ感がいつもと違う。


「お目覚めですか、S級冒険者のザッツさん」


 誰かに声を掛けられた。いつものように返すことにして――


「あ、ぁ。あ゛!?」


 違和感。


「あ! あー! あー! な、なんだこの声!?」


 高い。普通に声が妙に高い。

 両手をみる。


「なっ! 手! 俺の手、俺、小さい!!」


 訳が分からない。手だけじゃない。体全体が縮んでいる。


「この服何!?」


 小さくてヒラヒラした変な服に着替えさせられている。

 だれが着せた!?

 髪の毛も長くサラサラになっている。


「どういういことだこれは!」

「ほっほっほっ。かわいらしいですな」


 へらへらと笑う髭に高そうな上下揃いの服を着た年寄り男が笑った。


「貴様か! 貴様がやったのか!?」


 依頼人と依頼の相談、という名目でこの部屋に来て、出された茶を啜ったら急に眠気が

来た。

 俺の少ない脳みそでも、どう考えてもこいつが怪しいと分かる。


「その通りです。想定通り可愛らしい少女になられましたな」


 少女!?

 慌てて股間を探ると、ない。長年の相棒が、ない。

 全身から血の気が引いて、背筋を氷のような悪寒が走る。


「お、女になってる?」

「はい。その通りでございます」

「てめぇ! 何しやがる!」


 胸ぐらをつかもうとして、手を伸ばす。奴の胸の位置が高く、手を伸ばさないとつかめない。つかんでもねじり上げられない。筋肉が、落ちている。俺の筋肉!


「まぁまぁ。依頼を受ける、と仰っていただけたじゃないですか」

「それとこれの何の関係がある!?」


 俺がこいつに言われたのはとある人物の護衛、というだけだ。期間は1年と長いが、一千万ジィルもの破格の値段だった。そこで相談という名目でこの部屋に来たわけだ。

 期間中の飯や衣服は支給、ただ護衛対象が貴人なので礼儀作法を身につけさせられるという。礼儀作法の心得は皆無だが、教えてくれるしその教示代も向こうもち。戦いに明け暮れた俺は、そろそろ引退したかった。いろいろと伏せられたことはあるが、そこは依頼を受諾してから教えてくれるとは聞いた。

 俺はその最後の仕事にしようと快諾はした。


「ああ。受けた。受けたがこんなヒョロい姿になるとか聞いてないぞ!」


 腕に力が入らない。胸ぐらをつかめず、奴の胸を両手でポコポコと殴ることしかできない。たたく力も筋肉が全然足りなくて、なんの痛痒も与えられないのは感触で分かる。


「護衛のためです」

「護衛にこんな姿になる必要、ねぇだろうよ!!」


 声にドスが効かない。自分の声が甲高くて違和感しかない。

 久しく出ていない涙が自然と、ダメだ止められん。


「う、うぇ、うわあああああ!」

「お、落ち着いてください!」

「これが落ち着いてられるか!」

「ご、護衛のためです!」

「こんな姿でできるか!」

「替え玉! 替え玉なのです!」

「なんだとぉ!」


 替え玉。誰の。


「姫! 姫様の替え玉に!」


 姫。


「この国の王女、アリス・イニェコー・ホノクアーマ・ヴェルザンギウス殿下のです!」


 名前だけは知っている。三人いる現王陛下の子供の一人で、唯一の娘のため溺愛されているという姫君だ。まだ12とかその辺だったと思う。最近、隣国との縁談が持ち上がっているとは聞いていた。


「俺は男だぞ!?」

「だからその姿になってもらったのです! 王宮魔術師エーリゴ・ツゴスギ様謹製の安心安全副作用なし超スペシャル魔法薬の力によって!!」

「何故俺に!」

「最近姫様の周囲や我が国付近で不穏な空気が渦巻いております。あなたが体一つで成り上がった相当な実力者であること、実績と実力と評判の担保されたS級であると言うこと、そして戦闘スタイルが武器を使わない格闘ファイターであること! すべてを勘案してあなたが適切だと!」

「無ぅ理ぃだぁよぉおおおお! 俺は! 超恵まれた体格と筋力にモノ言わせたパワーで殴るだけだよぉおおお! この格好でできるかよぉおおおお!」

「なんとぉ!!」

「なんとぉ!!じゃねーよぉおおおおおお!!!」


特に感想も求めません

評価も別に……


面白いと思う人がいたら連載するかもね。確約はしませんが。

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― 新着の感想 ―
[一言]  主人公が泣き出して爺さんが慌てるところが面白かったです。女の子に泣かれるとうろたえてしまうのは男のサガですが、自分が主人公を女にしたせいでそんなことになったという、わけのわからない自業自得…
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