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盲いた王子と悪役令嬢  作者: 早乙女 純
レガリア王都編
3/14

お祖父様との出会い

 


「お嬢様、ベルナール男爵様がいらっしゃいました」


 アンナは、すぐ戻ってきた。


「分かったわ。案内してちょうだい」


 アンナは扉を開き、私は部屋を出た。そして、少し廊下を歩くとすぐに応接間に着いた。

 アンナは、ノックをして応接間の扉を開いた。


 私は背筋を伸ばし、室内に入り礼をした。


「お初にお目にかかります。シュヴァリエ伯爵家長女 クリスティーヌと申します。どうかお見知り置きくださいませ」


 クリスティーヌは、4歳児がするとは思えないはっきりとした声と礼を披露した。


「あぁ、はじめて会う。ワシは、お前の祖父であるアドルフ・ド・ベルナールと言う。よろしく頼む」


 アドルフも少し、驚いたように目を少し大きく開いていた。


 私は、祖父の前のソファに座った。


「それで、本日は私をご覧になるために、いらっしゃったとのことですが……」


「そうだな、随分と聡明であるみたいだな。話は聞いている。この屋敷の私が雇った者たちから、お前のことは報告でよく聞いていた。報告に偽りはなかったようだな。まさか、ここまで聡明だとは思わなかった。まるで成人した者と話しているみたいだ」


 アドルフは、淡々と話した。

 私は、成人みたいだと言われ、少し肩をビクつかせてしまった。

 アドルフは続けて言った。


「それで、お前はどうしたい?」


「どうしたいとはどういう意味でしょうか?」


「これからの時代は大きく荒れることになる。最近では、私みたいな商人や農奴から解放された自由農民が力を持ち始めてきた。まだまだ、貴族の権力は十全に働いているがこの先どうなるかわからない。それでもう一度聞くお前はどうしたい? ワシは出来る限りお前に力を貸そう」


 私は首を傾げた。いくら血の繋がった親族であると言っても、今日初めて会った私にいくらでも力を貸すといい出したのだ。私が話に聞いていた人物像と一致しないことを不思議に思ったのだ。

 そんな私の様子を見て祖父は笑い気味に言った。


「ワシがお前に肩入れするのがそんなに不思議か?」


「えぇ、私とお祖父様は今日初めてお会いました。それに、お祖父様は親族であるという理由だけで、手を貸すほど甘いお方ではないと思ったのです」


 私は、思ったことを赤裸々にお祖父様に話した。そうすると、お祖父様はいきなり笑い出した。


「ああ、そうだ。ワシはそんなどうしようもない理由で力を貸したりしない。ではなぜお前に力を貸そうと思ったかだが、それはさっきも言ったようにワシはずっとお前について報告を受けていた。ワシとしては、お前が成人に近づくまで会うつもりはなかった。そして、成人したらワシの都合の良いところに嫁がせるつもりだった。しかし、お前についての報告を見て一度会ってみるとことにしたのだ。そして、お前と会ってワシは理解した。お前がワシを超える傑物になると」


 お祖父様はしみじみと話した。


「それでお前はどうしたい?」


 お祖父様は鋭い眼光で私に言った。私は少し考えてお祖父様の目を見て言った。

 

(私はここに生まれて4年が経った。この世界にも慣れてきた。前世のことは時々考えてしまうけど、私はもう狩野湊ではなくクリスティーヌ・ド・シュヴァリエだ。それに私は、今世は自分のために使うと決めたんだ。だから、答えなんて決まっている)


「私は、幸せな人生を送りたいです。そのために、色んなことを学びたいです」 


「そうか、分かった。そのように手配しよう。しかし大きく出たな、幸せな人生を送りたいとは。それはとても難しいことだ、これだけ大富豪になったがワシでも幸せかどうかわからん。だが、面白い。後悔しないようにやってみなさい」


 お祖父様は少しニヤついた顔でそう言った。それは、まるでワシを超えてみろと言わんばかりだった。


「はい、よろしくお願いします」


 私は、満面の笑みで言った。


「あぁ、すぐに家庭教師を手配しよう。それでは、ワシは仕事に戻る。また何かあれば言いなさい。出来る限り手を貸そう」


 そう言ってお祖父様はすぐに屋敷から出ていった。 


「すごく優しかったわ」


「当たり前ですよ。お嬢様が初めてのお孫様なのですから。いくら恐れられているベルナール男爵様でも少しは緩みますよ。それにお嬢様は素晴らしい方なのですから」


 アンナは、そう言った。


「さて、お嬢様戻りましょう」


「そうね、これからが楽しみだわ」


 私はこれからのことが楽しみになった。


 


 


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