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盲いた王子と悪役令嬢  作者: 早乙女 純
レガリア王都編
2/14

伯爵令嬢としての日々

現在改稿中です。表現などが若干変わる可能性があります。話の流れは変わりません。申し訳ございませんがご了承ください。


 あの決意から4年が経過した。決意はしたは良いものの何も出来ず、食っては寝てを繰り返して私は4歳になっていた。だが、この期間でメイドたちの話を聞き、様々な事がわかった。

 私が今住んでいるのはレガリア王国と言う国の王都であり、私は名門貴族の伯爵家の生まれであるということだ。そして父と母は政略結婚であり、かつ二人ともお互いに嫌いあっているらしいのである。

 

 まず、父は、お金で爵位を買った大貿易商の次男であり、この国で販路を拡大するために政略結婚させられたようだ。母は、名門貴族だったが没落しかけの伯爵の令嬢であり、金銭的な支援をしてもらうための父と結婚したらしい。

 さらに、父は放蕩者であり夜遊びが激しく、母は気位が高く選民思想が強いらしい。そのため、二人は仲が悪く全く顔を合わせることはないそうだ。

 それで私は、どうやら初夜の交わりだけで運悪く生まれてしまったとのこと。(メイドたちの談)

 

 「お嬢様、そろそろランチのお時間ですので本を置いてください」


 そう言って私に声を掛けたのが、私が幼児のときから世話してくれている乳母のアンナであった。 

 

「ちょっと待って。あとちょっとで一区切りしそうなの」


 私は、レガリア王国史1巻という厚さ10センチもある本を読んでいた。なぜ4歳児がそんな本を読んでいて誰も止めないのかというと私は天才だと思われているのだ。私は3歳のときに文字を教えてもらい2日でマスターした。さらに私は調子に乗って暗算をして見せてたのだ。これをきっかけに私は天才として扱われるようになった。それで私は子供の真似をしないで普通に生活ができるようになった。それ以来私は、遠慮なく色々なことを調べている。


(やっぱり、知らない歴史ばかり……。別に元々歴史は詳しくないけど、こんな感じだっけ?)


 私は、この世界が私の前世の過去の世界であるのかを調べていた。しかし、如何せん私は歴史に興味がある質でもなかったし、高校でしっかりと歴史の授業を聞いてなかったのだ。つまり、結局調べても何もわからないのである。しかし、この屋敷にはそんな本ぐらいしか置いてなかったのである。暇すぎて、やることのない私はそんな本を読んで時間を潰していたのだ。だけど、歴史書はしっかり読んでみると結構面白かった。自国の美麗語句を並べるような部分はたまに疵だが、ファンタジー小説を読んでいるような感覚である。我が国の何代目陛下がドラゴンを一人で倒したとかそんな感じである。


 私がまた本の世界にのめり込んでいるとアンナが言った。


「お嬢様、今日は、貴方様のお祖父様がいらっしゃるのですよ」


「そうだったわ。確か、アドルフ・ド・ベルナール男爵閣下がいらっしゃるのでしたね。では、すぐに準備をしましょう」


 私は本を閉じた。


「はい、お嬢様。ですが、まず食事が先でございます」


「そうね。分かったわ。では、すぐに準備してちょうだい」


 そういうとアンナは礼をして、部屋から出ていった。


「はぁー、なんて堅苦しいのかしら。肩が凝っちゃうわ」


 私は、背を伸びながら祖父の情報を頭の中で整理した。私の祖父であるベルナール男爵は、一代で世界をまたぐほどの大きな商会を築き上げた傑物であり、世界有数の大富豪としても有名だ。

 私はまだ会ったことがないが、相当に気難しい人のようだ。話によれば、不当な取引を持ちかけてきた貴族をありとあらゆる方法で排斥して没落させたり、難癖をつけて口座を取り押さえをしようとしたある国の銀行を潰したらしい。

 どこまでが本当であるか分からないが、かなり過激な御仁のようだ。


(気をつけて、対応しないと孫である私でもどうなるかわからないわ。こんな早い段階で人生が終わるのは何としてでも回避をしなければ……)


 私が深く思慮していると、アンナが料理を載せたサービスワゴンを押して入ってきた。

 

「お嬢様、お持ちしました。ごゆっくりお召し上がりくださいませ」


 アンナは、机に料理を並べて後ろに下がった。


「ええ、ありがとう」


 私は少し気が落ちた。ここの料理は、どれも味付けが濃く私の口には合わなかった。元々、和食のようなさっぱりして出汁の効いた料理が好きな私にとってここの料理を食べるのは辛い。さらに、料理のバリエーションも少ないので食事の時間は私にとって苦痛なものであった。

 私も何度か料理をどうにかしようと思い厨房に行って料理長に話したが、一ミリも理解してもらえなかった。料理長はお前に料理の何がわかるんだと言わんばかりの表情だった。それから、私は食事をどうにかすることを諦めて心を無にして食べるようになった。私は今日も生きるために食事を機械的に口に運び処理をした。そして、私が食事を食べ終わるとアンナは、食べ終わった食器をサービスワゴンに載せていった。


「アンナ、お祖父様はあとどれくらいでいらっしゃるのですか?」


「まもなくいらっしゃると伺っています。ですのでもうしばらくお寛ぎくださいませ」 


 アンナはサービスワゴンを戻しに出ていった。

 私は、お祖父様に会うことに緊張を覚えながら待った。


(……さて、どうなるかしら)




 

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