あけましておめでとうございます
あけましておめでとうございます。
昨年は大変お世話になりました。
今年もよろしくお願いします。
「今年の恵方はどこなのだ? 早速初詣に行かねばならぬぞ!」
うちは見ての通りです。
二日酔いで辛い体を休めるため、寝正月を決め込みます。
「大家殿! お札を! お札を買いに行こうぞ!」
新年早々すいませんね。
でもね、2020年が終わるまであと364日もあるんですよ。
最初から飛ばしたら辛いですから。後も控えてますから。
「おみくじーーーーーー!!」
うるせぇーーーーーー。
そんなわけで、初詣に来ました。
武士は現代日本の初詣にキャッキャしております。
「大家殿! 熊手!」
買えってか。
ヤダよ。どう飾っていいかわかんねぇもん。
「大家殿! お参り!」
そうだな、二礼二拍手一礼だな。
「大家殿! おみくじ!」
はいはい、引きなさい引きなさい。
「小吉!」
おう、良かったな。
「もう少し味わえばどうだ!」
淡白な私の反応にぷりぷりと怒る武士である。
すまん、もう私昨日買ったスペアリブのことしか頭にねぇんだ。
信心薄くて本当にすまない。
そう言うと、武士は呆れたようにため息をついた。
「大家殿、その態度はいかがなものかと思うぞ。そんなことで、いざ神にすがらねばならん状況になったらどうする。神であれ、いきなり揉み手をしてくる者を助ける気にはなれんだろうに」
お前いいこと言うね。
確かに、それはそうかもしれない。
なので、神様のご機嫌伺いの意味も兼ねておみくじを引いてみた。
結果は……。
凶だった。
「ぶはははははははっ! それ見たことか!」
ヤベェー、めっちゃ神様怒ってんじゃん。
ちょ、ごめん、武士。もっかい参拝してくるわ。熊手も買うわ。お守りも買うわ。神様ごめん。
笑い転げる武士には新年早々腹が立ったが、神様の機嫌を損ねたとあってはまずい。私は財布を握りしめ、また長い列に並んだのであった。




