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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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良いお年を

 今年も残すところ僅かとなりました。


 というかあと数時間ぐらいですかね。

 いやぁ、良いお年を。


 ……。


 ……ダメですかね?

 ではもうちょい続けます。


「こたつ……てれび……みかん……素晴らしきエレキテル……」


 この武士はもうダメだ。完全に取り込まれてしまっている。

 っていうかミカンはエレキテル関係ねぇよ。さてはちょっと眠たいな?


 もうね、うちは紅白とガキ使を交互にカチカチですよ。スイッチング。


 いやぁ、歌番組が流れてたら節目って感じするよね。こうね、ごめんよ、今酒入ってるから、何か変なこと言ってたらごめんね。


 酒がうめぇー。


 武士にもついでに注いでやる。こいつね、生意気にも酒が強いんですよ。


「大家殿、少々飲み過ぎではないか」


 杉?


 すぎ?


 ノミ杉?


 いかん、わけわからんな。


「大家殿! ぼちぼちにするのだぞ! 何事も過ぎたるは及ばざるが如しだ!」


 武士に叱られた気がするが、気にしない。何故なら私はいい大人だ。酒を飲むのも自己責任、酒に酔うのも自己責任。


 ひゃっほーい!


「大家殿おおおおお!」


 ……。


 まぁね、悪くない年だったと思うんだ。

 武士が来てからさ、なんかエンゲル係数とかも高くなったし、いろいろ気にかけることも多くなったけど。

 結構ね、総合的に見たら楽しかったと思うよ、うん。


「……おお」


 うん? おお、おお。


 おお?


 武士はちょっとだけ固まった後、私にビールを注いでくれた。


「大家殿の酔い方は良い酔い方だな。良ければもっと飲むがいい」


 おー、気がきくじゃんね。

 あんがとあんがと。

 おー、ビールビール。

 夏の方がうまいけど、やっぱ冬もうまいものはうまい。


 うめぇー。


 こうして、大晦日の夜は更けていく。

 きっと江戸の時代から変わらない除夜の鐘も、今夜は聞きたいものである。

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