良いお年を
今年も残すところ僅かとなりました。
というかあと数時間ぐらいですかね。
いやぁ、良いお年を。
……。
……ダメですかね?
ではもうちょい続けます。
「こたつ……てれび……みかん……素晴らしきエレキテル……」
この武士はもうダメだ。完全に取り込まれてしまっている。
っていうかミカンはエレキテル関係ねぇよ。さてはちょっと眠たいな?
もうね、うちは紅白とガキ使を交互にカチカチですよ。スイッチング。
いやぁ、歌番組が流れてたら節目って感じするよね。こうね、ごめんよ、今酒入ってるから、何か変なこと言ってたらごめんね。
酒がうめぇー。
武士にもついでに注いでやる。こいつね、生意気にも酒が強いんですよ。
「大家殿、少々飲み過ぎではないか」
杉?
すぎ?
ノミ杉?
いかん、わけわからんな。
「大家殿! ぼちぼちにするのだぞ! 何事も過ぎたるは及ばざるが如しだ!」
武士に叱られた気がするが、気にしない。何故なら私はいい大人だ。酒を飲むのも自己責任、酒に酔うのも自己責任。
ひゃっほーい!
「大家殿おおおおお!」
……。
まぁね、悪くない年だったと思うんだ。
武士が来てからさ、なんかエンゲル係数とかも高くなったし、いろいろ気にかけることも多くなったけど。
結構ね、総合的に見たら楽しかったと思うよ、うん。
「……おお」
うん? おお、おお。
おお?
武士はちょっとだけ固まった後、私にビールを注いでくれた。
「大家殿の酔い方は良い酔い方だな。良ければもっと飲むがいい」
おー、気がきくじゃんね。
あんがとあんがと。
おー、ビールビール。
夏の方がうまいけど、やっぱ冬もうまいものはうまい。
うめぇー。
こうして、大晦日の夜は更けていく。
きっと江戸の時代から変わらない除夜の鐘も、今夜は聞きたいものである。