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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
97/585

パプリカ

 武士がね、『パプリカ』踊れるんですよ。


 こんな夜にいきなり何をと思うかもしれませんが、本当なんですよ。

 年末で歌の特番が多くなるじゃないですか、『パプリカ』よく流れるじゃないですか。


 武士が踊るんすよ。


 無言で、こっち見て。


 もう完璧に覚えちゃってんの。

 フルで踊れんの。


 武士が来たのが今年で良かったな、と思ったんです。

 多分去年だったらDA PUMPの『U.S.A.』になってた気がするからね。

 そうなったら多分安普請のアパートの床が抜けてたよ。セーフセーフ。


「んふふぅーふ、んふふふ、ふぅーふぅーふー!」


 夜に熱唱すなや。


 ……ところでお前、そもそもパプリカって何か知ってるの?


「……不思議なまじないの言葉ではないのか?」


 よーしやっぱり知らなかったな!


 パプリカはね、お野菜です。


 ピーマンみたいなヤツ。


「…………まことか?」


 まことまこと。


 ほら、これ。


 武士に写真を見せてやると、細い目がまんまるになった。


「……花は?」


 知らん。

 咲くんじゃないかな。


「……つまりぱぷりかは、百姓の歌だったのか……!?」


 今の武士の頭の中では、お百姓さんが朗らかな笑顔でクワを振るっているのだろう。

 えーとね、みんなに希望を撒くんだって意味ではきっと正しいのではないかな。みんなみんな誰かの為に希望を撒くことができるんだよ、ほら。


 ……。


 いや、やっぱ、お百姓さんの歌では、無いかなぁ……。


 とりあえず、武士と二人でパプリカの歌詞を書き出してみることにしたのである。年末なので、なんだか色々ゆるい毎日である。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 無言でこっちを見ながらパプリカ(@豊作踊り)を踊る武士……ものごっつ見たいです!!!
[一言] この小説のせいで、パプリカが百姓たちが豊作はを願う歌になったじゃないか!どうしてくれるんだ!
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