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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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怒り

 この私の駄文を読む人も、きっと落ち込んだり苛々することがあると思う。


 だが、そんな時には武士の言葉を思い出して欲しい。


「腹は減っておらぬか」

「寝は足りておるか」

「体のどこかが痛くはないか」


 武士曰く、健康な人間であれば、これらが満ちていれば些細なことで怒るなどそうそう無いらしい。


「人の肉体と精神は、絶妙な釣り合いを取って成り立っておる。肉体の調子が崩れると、あっさり精神も崩れてしまうものだ」


 逆に、精神をしっかり保つことで肉体も健康になったりすると言う。あれだ、病は気から、というヤツだ。


「――大家殿は今、確かに怒っておる。しかし、それはもしかして肉体の不調からくるものではないのか? 今一度振り返ってみてはいかがか」


 私の前で正座した武士にそう言われ、胸に手を当てて考えてみる。


 夕食は、さっき食べた。

 睡眠も、今日は十分足りている。

 体も、元気いっぱいだ。


 うん。


 その上で、私お前にキレてるわ。


「すまん! あまりにも美味い菓子だったのだ! 某の手は止まらず、ついつい二個食べてしまった!」


 知ってる。

 なぜなら、お隣の秋澤さんにチーズケーキの味の感想聞かれたからね。


 土下座する武士のちょんまげを睨みつけ、私は薄ら笑いを浮かべた。


 ――なるほど、武士の言うこの三条件を満たした上での怒りは、本当の怒りという解釈で良さそうだ。


 歯ァ食いしばれ武士!!




 そんなわけで、しっかり正しく怒るためには肉体を万全にする必要がある、という話であった。

 みんな、三食しっかり食べて、夜は寝ような。

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― 新着の感想 ―
[一言] いっそ、武士をお隣さんに ……いえ、何でもありません。仲よきことは美しきかな。
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