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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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シチュー

 シチューを作ってやったら、武士が感動した。


「美味い……」


 美味しかったらしい。


 ちなみに、シチューを食べるならば味が濃い方が好みである。大学時代、私がチーズをかけてシチューを食ってたのを見た友人が「お前もうそれグラタンを食えよ」と正論を吐いてきた。

 違うんだって。シチューはシチューでグラタンはグラタン。そうだろ?


 大人になるっていいよ。肉とチーズを山ほど入れたシチューを作って食べても、誰にも何も言われないんだからな。まあ無言で食べてたら、山小屋に住む人嫌いジイさんみたいな気持ちになる時あるけど。そこはそういうもんだと割り切ってだね。


「冷えた身にしみる」


 うむ、全くである。


 こたつに入り、半纏を着て、シチューをすする。絵面的には鍋が正解な気もするが、体が温まればそれでいいのだ。


「大家殿」


 なんぞ?


「みかんが食べたい」


 いや知ったことかと。


「あの箱……“れんぢ”で温めたヤツをだな、食べたくなった」


 あー。

 そうだな。武士に操作させるのが怖いから、まだ電子レンジは私を通してでないと使えないルールだった。


 えー、面倒くせぇな。

 つーかそれ今言う? 後にしようぜ。


「今食べないと風邪をひく気がする」


 ンなわけねぇだろ。


 武士の要求を軽くかわし、シチューを食べ続ける。


「大家殿」


 今度はなんすか。


「“しちゅう”のおかわりが欲しい」


 それはマジで自分で行けや!


 コタツの中の足を蹴る。するとその隙にシチューの皿を交換された。

 なんだコイツ! それが武士のやることか!


「腹が減っては戦ができぬ」


 武士は食わねど高楊枝だろ!!


 残るシチューを全部食ってやろうかと思ったが、腹が破裂するのでやめた。カレーにしろシチューにしろ、大抵二日分は食べられる量を作ってしまうものである。

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― 新着の感想 ―
[良い点] シチューがうまいのは真理である。
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