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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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二度寝とか

 武士は鍛錬を欠かさない。

 あまり。

 雨が降ってたり、寒過ぎたり、ものすごく面倒だったり、落ち込んだ次の日はたまに欠かすが。


 少し寒いぐらいなら、バリバリ朝から神社に走り込みに行くのである。


「大家殿もどうであるか!? 身が引き締まる思いがするぞ!」


 やーだーよー。

 私の体力は仕事用に使われるんだ。鍛錬とやらで消耗している暇は無い。


「むむ、それもそうだな。では行ってくる!」


 おーおー、気をつけてなー。


 そして私は二度寝する。

 しかし寒い朝の二度寝は格別だね。二度寝しない方がいいとか健康番組でやってたけどさ、早めに起きて「お、まだ寝れるじゃん」って思った時のお得感と幸福感は異常。あの瞬間を感じられる薬とか出たら、多分捕まる系の非合法だと思うもん。連日ニュースで取り上げられちゃう。


 まったく、武士も偉いねぇ。こんな寒い日も鍛錬……と……は……。


 ……。


 ……。


 ……起きなきゃなぁ。


 二度寝して小刻みに起きて「あー、もう時間だわ」ってなった時の気怠さと絶望感は異常。やっぱ人間スパッと一発で起きるべきである。でも最近眠りが続かないんだよね。年かな?


 それか私も武士を見習って、朝の鍛錬でもすればシャキンと……。


 そんなことを思っていたら、どこからともなくイビキが聞こえてきた。

 だが、武士の布団は既に上げられている。ならば、どこに?


 ぐるりと部屋を見回すと、見慣れたちょんまげがコタツから突き出ていた。


 ……茹だるぞ、お前!!


 反対側から足を掴んで引きずり出した。

 鍛錬から帰ってシャワーを浴びて冷たい水を飲んで、それからコタツに入ったら幸せな眠りに落ちてしまったらしい。


「とても喉が渇いた」


 もー、コイツ私がいなくて大丈夫かな。

 家で火事とか起こしゃしないかな。

 損害賠償とか請求しようにもコイツ一文無しだからなー……。


「問題ない。いざとなれば刀を質に入れる」


 賄えると思ってる節があるんだよなー。

 その刀の出どころ聞かれて困るの私なんだけど。


 最悪、コタツを撤去するしかない。しかし武士はコタツをいたく気に入っているので、しまうとなれば殴り合いの喧嘩に発展しそうな気もするのである。(そしてそうなったら負ける。)

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