はたらくくるま
「“みきさぁ車”はかっこいい」
テレビを見ていた武士がぽつりと呟いた。
まったく、突然何を言い出すのやら。
寝転んでいた私は上体を起こし、武士に人差し指を突きつけた。
……わかるぅー。
「のぅ!? そうだよな! 某、“みきさぁ車”は実に見目が良いと常々思っておったのだ!」
わかるわかる。
なんだろうな。勿論必要に迫られてあの形状なんだろうけど、本当かっこいいんだよ。ちょっと昆虫チックな所とかもさ。
そんでショベルカーもな……見たらテンションが上がる。
「分かるぞー……!」
分かってくれた。嬉しい。
「こう、ガーッとな……ガーッとなるのが、実に良いのだ」
武士は腕を使って“ガーッ”の部分を表現してくれた。
わかるわかる超わかる。
しかし働く車って、なんであんな格好いいんだろうなぁ。
電線直す為の高所作業車とかあるじゃん。あのクレーン車みたいな。私あれ見たら未だテンション上がるもんね。すげぇー、乗りてぇーって。
「分かる」
分かってもらえちゃった。
うーれしー。この世の春ぅー。
……。
一度でいいから、運転してみたいなぁ。
「高所作業車か?」
いや、ロードローラー。
「おお、あれか。あれは“じょじょ”で読んだ。あれも乗れるんだな」
乗れるよ。当然だろ。
一応言っとくけど、DIO様の使い方は正しくないよ、アレ。死ぬほど盛り上がったけど。もうアレ承太郎ダメかなと思ったけど。
今度、ロードローラーがちゃんと仕事をしている現場を見せてやろう。
そんなことを思った。




