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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
701/705

仕事、突然やめたくなりがち

 あ~~~~……。


 仕事、やめてぇな……。


 無理か……無理だな……。


「大家殿が物憂げな顔で布団にくるまっておる」


 武士はいいな……会社行かなくていいから……。


「感謝しておるぞ、大家殿!!!!」


 勤労感謝の日にやったクソデカボイス感謝はいいんだよ。

 一方私はどうだよ……。会社に行って、届いたメール確認して、上長にケツ叩かれながら取引先行って絞られて、後輩の話聞いて、おもむろにやらかしが発覚して、半泣きで残業する……。そしてそういう時に限って安心してた案件でトラブルが発生して

 ああ~~~!!(発狂)


「全てがうまくいくときもあるではないか! 先日も大家殿は難しい案件がひとつ受注できたと申して酒をあおっておった!」


 成功ってあくまで一過性のものだから、“成功した人間”でい続けるには常に成功し続けなければならない……。


「ありがちな啓発本のようなことを言っておる……。かような考え方ではいずれ潰れるぞ」


 潰れたら会社行かなくていいかな……。


「限界であるな……。本日は休むか?」


 いや、行くは行く。励ましたりしてその気にさせてくれ。


「しかし某が何を言ったところで『でも貴殿は職無しの身であろう』とは思わんか?」


 可能性はあるけど、そんなこと思う余地もないぐらい説得力のある励ましを頼みたい。


「無茶を申す」


 頼む。このとおり。


「布団の中に引きこもって『このとおり』も何もないであろう。むむ……仕方ない」


 お、来るか。励まし。


「舞おう。大家殿のために」


 何? なんて? 今魔王っつった?




 その後、15分にもわたり武士の謎の舞(無言)を見せられ、私は出社せざるをえなくなった。玄関の戸を閉める直前も全然踊ってたもんな。帰ってきても踊ってたらどうしようと、今はそれだけが怖いです。

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