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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
700/706

こたつを出した

 今年もこたつを出した。

 瞬間、武士が滑り込んできた。


「無頼伝……」


 多分だけど“スライディング”って言いたかったんだと思う。一瞬福本伸行氏の漫画かと思っただろ。

 早速スイッチを入れる。最近正気を疑うレベルで寒い日もあるが、今日は少しマシだろうか。それでも十分こたつのありがたみを思い知らされる。

 あったけぇ……!!


「ぬおおおお……某は必ずやこれを江戸に持ち帰るぞ……」


 武士が顔だけこたつから出して言う。

 いや無理だよ、こたつってエレキテルに依存してるから……ただの布団つき机になる。


「それもまたよし」


 よかねぇだろ。布団つき机なら本気出せば現地調達できるだろ。


「しかしこたつには大家殿との思い出が染み込んでおるゆえ」


 武士、お前……。

 そういうことならしゃあねぇな。帰るときにはこたつ机を持って帰っていい。


「こたつ布団は?」


 結構高かったから嫌。


「某もこれがいいのだ~!」


 チッ、やはり上等なこたつ布団狙いのハイエナだったか。ちなみにハイエナは卑怯な行動の代名詞として用いられることが多いですが実際のハイエナはそんなことはなく自分たちで積極的に狩りをして獲物を捕らえています。

 とにかくこたつ布団は渡さねぇ。江戸で用意しろ。


「ぬうう……大家殿との思い出の品が……」


 だからこたつ机はやるっつってるだろ。足折れかけてるけど。


「思い出は布に染み込むものである」


 聞いたことねぇわ、そんな通説。思い出って水気あるのかよ。

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― 新着の感想 ―
700話! 投稿ありがとうございます。 こたつ、いいですよね。 700話目に相応しい、暖かいお話?
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