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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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勤労感謝の日ですね

 勤労感謝の日だったので、それを餌に武士に労いをねだりました。

 あーーー働いてる私、偉いなーーー。勤労だなーーー。これはなーーー。感謝されないとなーーー?


 したら武士、この世の全てを心得たような顔で頷いた。


「感謝しておるぞ、大家殿!!!!」


 でっけー声だがそれだけだった。あとはいつもどおりだった。

 ちょっと待ってくれ。今日び感謝が言葉だけっていうのはいかがなものかと。


「というと?」


 もっと目に見える形で労いをください。


「目に見える形? たとえばどのようなものだ」


 たとえば……えー……。

 金一封とか?


「某は文無しである」


 そうだったね。

 じゃあ、何か作るとか……。


「折り紙でやっこさんなら……」


 小学生からもらうならまだしも、同年代のちょんまげからは別にいらねぇな……。

 じゃあ、何かサプライズとか。


「……」


 ……? おい、どうし


「ぬおおおおおおおおおおお!!!!」


 うおおおおおおおお!!?? 何!!? どうした!!??


「ざるらいす」


 サプライズってそういうことじゃねぇよ! あとザルライスじゃなくてサプライズな! まずそうだな、ザルライス!

 クソッ、ツッコミどころが多い! もういいです、具体的に言います。マッサージとかするのはどうだよ?


「正治……?」


 マサジさんの話はしていない。マッサージ。体をほぐす……ええと、そう、按摩だ。


「ほう、按摩。それならば某も多少心得があるぞ」


 え、そうなの? まさかの展開だな。それじゃ早速お願いしたんだけど。


「うむ、任されよ。ではまず横になるがいい」


 うんうん。


「次に、逆立ちをしてもろうて」


 待て。


「それから舌を出しつつこれまでの非道な行いを反省し」


 待て待て待て。


「足を開いたり閉じたりしながら詫びを入れれば、某が背後から介錯を」


 待てっつってるだろ! サイドブレーキ入れ忘れた坂道のダンプカーか?

 お前が心得てる按摩、なんかちげぇんだよ。なんかじゃねぇな、全体的に違うんだわ。


「しかしこれが由緒正しき按摩であると某は教わり……」


 誰から?


「父から」


 じゃあ絶対嘘だろ。全部忘れろ。


「ぬうう、某の父を愚弄するか!」


 ……。


「無理もないな」


 だろ。

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