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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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怒るということ

 詳細は省くが、職場で怒らなければならない事案があった。

 私もぼちぼち管理側に寄りつつある人間なので、その分社員絡みのトラブルにも出くわす。そこで怒りを表明しなければならないことがあるのだが、生来怒るのが苦手なのだ。何なら注意するのも精神的に負担がかかる。だけど避けては通れないので、やむをえず対応せねばならない。


 怒りかぁ……。アンガーマネジメントとは言うが、こっちの精神に負担が少ない怒り方も教えてほしいな。


「思うに、大家殿はまだ感情に一区切りつけられておらんのだ」


 武士(withカプリコ)に相談すると、そうあっけらかんと返された。


「怒らずともよい。相手に必要なのは、指摘と報いのみである。指摘して直るものならそれでよし。直らぬならば報いを与え、その行動が不利益だとその者自身に実感させねばならぬ。だが、この報いを怒りに代替する必要はないのだ」


 えーと……私の怒りをおしおきに使う必要はないってこと?

 それはまあそうなんだけどね。でも他の方法で報いを与えるって非現実的じゃない? それになんかネチネチしてる気がする。それよりはその場でサパッと終わらせたいよ。


「それもひとつの意見であるな。だが人と付き合うというのは、いずれにせよ長い目で見ねばならぬことだ」


 ネチネチしろってこと?


「否。その者に寄り添うのだ」


 寄り添う?


「間違えたのなら必ず理由があろう。ならばその理由を突き止め、再び間違えることがないよう寄り添うのが、理想ではないか? しかし、そこに大家殿の感情は不要だ。これも仕事のひとつと思い、淡々と行えばいい」


 武士……お前、志が高いな。いま無職のくせに。

 でもアドバイスありがとう。なんとなく心が軽くなった気がするよ。


「うむ。して、その者は一体何をしでかしたのだ?」


 男の社員なんだが、女子トイレでタバコ吸ってボヤ起こした。


「一刻も早く組織から追い出すべきである」

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