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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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季節ものコーナー

 最近店の季節コーナーが先取りもいいとこで、クリスマス越えてついに鏡餅が並んでいました。何事も早めに準備することに強迫観念を覚えている人がこれ見たら卒倒するだろ。


「あまりにも気合の入った先取り。しかし某は常に菓子を所望しておるぞ」


 いい加減ハロウィンは諦めろよ。

 でもこれだけクリスマス色にあふれてたら、否が応にも年末を突きつけられるなぁ。ああ、12月がやってくる……!


「何か問題でもあるのか?」


 仕事納めとか挨拶まわりとか色々……。まあ仕事のほうは結局納まらなくて、はみ出た分は来年の私に丸投げするのが例年の流れだけど。


「そういえば毎年喚いておるな」


 喚いとる言うな。泣いてないだけ上等だろ。


 お、百均コーナー。手袋やマフラーも結構種類が出てんなぁ。


「気をつけるのだぞ、大家殿。特にふかふかなあの首巻きは三百円の値がする」


 マジで?


「油断ならぬ。浮かれておった気持ちが、会計時に一気に萎んでしまった」


 買っちゃったのかよ。いいよいいよ、ふかふかのマフラー身にまとって暖かく過ごしな。


「かたじけない……ぬ、ふかふかの靴下」


 言っとるそばから。ちゃんと値札見た?


「三百円なり」


 全く同じ轍を踏むところだったじゃねぇか。学べよ、過去の自分から。


「……」


 何?


「大家殿の願いは……某がこの冬も暖かに過ごすこと……」


 別に願ってはないけど。


「ゆえにこれは必要経費」


 必要経費とかどこで覚えてきたの? あっ、ふかふか靴下をかごに入れた。


「大家殿も何か三百円のものを買うがいい」


 そして私にも同じ値段のものを買わせて若干の罪悪感をごまかそうとしてる。気軽に共犯にすな。

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