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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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ナ◯シカガチ切れ案件

 今、ナウ◯カが私の家のベランダを見たら、髪を逆立てて飛びかかってくるかもしれない。王蟲だったら目が赤くなってるかな。まあそれほどまでに弊ベランダで虫が死んでいる。

 その理由は二、三日前の日記を読んでいただければと思います。端的に説明すると武士が殺虫剤をばらまきました。


「まさかこれほどまでに効き目があるとは」


 武士は腕組みをして、改めてベランダの惨状を見つめている。


「数多の命を奪った某は、地獄に落ちるかもしれない」


 死後の心配しなくても、心のなかで手を合わせたなら大丈夫だよ。

 もう供養は済んでる。


「なぬ? 大家殿、いつのまに……?」


 いや、私じゃない。

 殺虫剤を作ってる、アース製薬とか大日本除虫菊とかフマキラーとかが。


「あす……ふすま……」


 殺虫剤を売ってる会社……えーと、お店だよ。


「ほう。しかし、供養とな?」


 一年に一回、虫供養をやってるらしい。社員みんなでお寺に行って、ハエやダニなどの遺影を前にして手を合わせるんだって。


「遺影」


 遺影。


「……それは毎年変わるのであろうか」


 わかんない。でも私が社員なら、変わってても気づかないかもしれない。


「そうか……。だが、それを聞いて少し心が晴れやかになったぞ」


 うん。無闇矢鱈に殺すのは剣呑だけど、生活が脅かされない程度によろしくしていきたいね。


「うむ。虫と共に生きていくには、この屋敷はあまりにも狭い」


 悪かったな。

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