表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
68/676

歯磨き

 武士は歯磨きが好きである。


 というか、歯磨き粉が好きである。


 ご飯を食べ終わったら、嬉々としてクリアクリーンをつけてシャコシャコ歯を磨いている。口の中の爽快感がたまらないらしい。めっちゃつける。お前それ食うの? ってぐらいつける。


 ホイップクリームじゃねぇんだぞ。


 しかしこんなに歯磨きが好きだというなら、江戸時代に生きていた頃はさぞ不便を感じていただろう。

 そう思い尋ねてみると、意外な言葉が返ってきた。


「江戸時代にもはみがきはあったぞ?」


 あったの!?


 え!? このシャコシャコが!?


「そうだとも。房楊枝とぐぐってみるがい」


 武士がググる言うな。現代日本に染まりやがって。


 しかし言われた通りインターネットで調べてみたら、なるほど確かに歯磨きをする女性の絵が出てきた。

 あー、これが。へぇー。


 使いにくそうだな。


「歯の裏側は磨きにくい」


 だよなぁ。


「だが磨き心地は悪くない」


 ほぉー。


「本当は一度使い終わればすぐ捨てるべきらしいんだがな、我が家は祖父の遺言でそれはできない決まりなのだ」


 いやどんな死に様だよ。

 『歯ブラシは……毛先がボロボロになるまで使え……ガクッ』『おじいちゃーん!』みたいな感じか。歯ブラシに祟られたのかお前の爺ちゃん。


 ティッシュの時といい、ちょんまげのことといい、なんか変な家だなぁ。

 それか案外こんなものなのだろうか。武士の家って。


 まあそれはそれとして、ヤツは歯磨きがとても好きらしい。あんまり磨き過ぎたら歯が傷むぞーとも思うが、それを言ってやるほど親密なわけではない。面倒くさい。

 武士よ、存分に磨くがいい。


 私は会社に行く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ