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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
674/676

みなさん宝くじって買う派?

 本日は大安吉日! 特に何がどうこうなるわけでもないが、なんとなく嬉しい気分になるものだ。


「ほう、大安。何をするにおいても吉となる良い日だな」


 お、武士にも通じる話だ。

 長い時間が経っているはずなのに文化が途切れていないって、こういう時にメリットだと思う。


「富くじを買おうぞ」


 効率的な資金稼ぎの文化まで継承されてんな。

 年末ジャンボにはまだ早いぞ。あと一ヶ月待ちな。


「否否、あの……ほれ、銭で擦りし下より出づる印にて……その場で金がもらえる摩訶不思議な紙」


 スクラッチのこと?


「うむ、すくらぶ」


 なんかその単語聞いたことあるな。調べよう。えー……。

 古い角質や汚れを取り除くスキンケアアイテムだって。お前美肌になりたいのか?


「金持ちになりたい」


 いつでも素直に生きやがって……。


「今こそ吉日。向かおうぞ、富くじ」


 宝くじのスローガン?

 えー、私はパスかな。ああいうのって、結局当たんなくて金吸い上げられて終わりじゃんよ。


「だが某の運があれば……?」


 お前の運、大したことないだろ。この間だって、結構貯めてたポイントの有効期限が切れてたのを翌日になって知ったぐらいだし。


「いっそ知らぬままでいたかった」


 まあその程度の運じゃ無理だよ、スクラッチは。


「だが、これまでの某は運を溜めていたと思えば……?」


 そんなら年末ジャンボに向けて発揮してくれよ。


「年末ぼじゃんの頃には期限が切れておるかもしれん」


 お前の運もポイント制なの?

 あと年末ぼじゃんじゃねぇよ。年末ジャンボだよ。

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