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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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インフルエンザの予防接種の時期になりました

 オラ武士。

 予防接種行くぞ。


「やきにく?」


 それは昨日行っただろ! デザート二つも頼みやがって!


 違う違う、予防接種な。インフルエンザの。


「いんふる……」


 インフルエンサーにならぬためのお注射にてござるか~? なんて言ったらはっ倒すからな。


「まだ何も言っておらぬが」


 いいから行くぞ。もう予約取ってんだ。


「某、急に眠くなってきた」


 断る理由にしては弱くね? ほら歩け歩け!


「心は行っても構わぬと言っておるが、足と腕と腰と尻と頭が行かぬと申しておる」


 ほとんどがストライキしてんじゃねぇか。内閣だったら総辞職も視野だぞ。

 うるせぇ~! お前の病状、今でこそ寛解状態だけどインフルレベルの病気になったら全然再発の恐れあるんだからな!? いいから来い!!


「い゛ぃ~ん!」


 仮にも武士である身の口から出る声じゃねぇだろ! しっかりしろ!!





 こうして病院にやってきたのである。もちろん私も予防接種を受ける手筈を整えている。


「これが最善とわかっておっても、避けたきことはあるのだ」


 まあ江戸時代に注射器はなかっただろうしなぁ。怖いのも仕方ないよ。

 でもお前、入院中に散々注射されただろ?


「心から嫌であった」


 慣れるようなもんじゃないもんな……。

 お、先に私が呼ばれたな。じゃあ行ってくるわ。


「うむ、武運を祈る」


 注射に武運いらねぇだろ。大丈夫だって、私だって毎年予防接種してんだ。お手本見せてやんよ。


 そう言い放って数分後……。



 わりぃ……やっぱ痛ぇわ……。



「負けておるではないか!!」


 いや、でも今年のインフル予防注射は例年度に比べて痛くなかった気がする! これはいけるぞ、武士!



「まことにござるか~?」


 まことまこと! ほら、呼ばれた! 行っといで!


「ぬう~……」


 それから数分後……。


「痛いではないか」


 腕を押さえてしおしおとした顔の武士が出てきた。

 や、あくまで比較の話だよ。痛くないわけないだろ。


「騙された……」


 まあでも予防接種するほうが大事だから……。

 来年もこの手でいくか……。

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