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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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食欲爆発の秋

 この夏、薄着なんて知ったことかとばかりに体重が増えたので今ダイエットをしている。無理のない食事制限に、無理のない運動……。あすけんなどのアプリもそうだが、やはり可視化すると自分の状態がわかるし、何より改善しようという気持ちにもなってくる。

 だが、やはり季節のせいだろうか――


 非常に、腹が減る。


 もう、信じられないぐらい、減る。


「しっかり食べておらんから……ということではなさそうだな」


 武士が、たっぷりタレをつけた肉を白米と共に口に運びながら言う。


「なぜなら大家殿はよく食べておる。それこそ以前と変わらぬほどに」


 そんなことないよ。ちょっと白米の量減らしたり、野菜を意識して食べたり、お弁当を見る時は必ずカロリーを見るようにしている。

 ところでお弁当の底の裏側にカロリー書いてるタイプのお弁当何なの? 店頭で下から覗き込むようにして見ないといけないから恥ずかしいんだけど。


「そこで折れるような弱き心で美しき肉体を手に入れられると思うでない」


 厳しくない? クレーマーより言い分がモンスターでは?


「では、あれではないか? 今まさに、大家殿の体から余分な肉が消えておるのだ。それゆえ退治されようとする肉どもが、最後の力を振り絞り仲間を増やそうと暴れておるのだ」


 贅肉って仲間呼ぶんだ。


「大家殿の体ではそうだな」


 もっと普遍的な視点で疑問を解決しようとしてくれよ。

 うーん……でも確かにそれも一理あるかもな。いや、贅肉が仲間を呼んでるんじゃなくて、体がちょうど痩せている最中だから体が一時的に飢餓状態に陥ってるとか……。


「……?」


 なんでわかんねぇんだよ。


「しかし、それならば今ヤキニクを食すのはまずいのではないか? また肥えるぞ」


 うるせぇ、肉が肉を呼んでんだ。

 大丈夫だよ、チートデイって言葉もあるぐらいだし。


「ちぃとでええ……少々の肉で構わぬと申したか?」


 言ってねぇな。そこのカルビくれ。

 くっ……白米が進む! 食っても食っても満たされねぇ!


「よく噛んで食べるのだぞ」


 もちろん、噛んだら満腹中枢が刺激されるらしいからな。


「いや、かろりぃは砕いて壊すことができるゆえ、よく噛めばかろりぃはぜろ」


 お前その理論信じてる人なの?

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