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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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秋祭り

 毎年夏に開催されるはずのお祭りがいつまで経っても名前すら出てこないなーと思っていたら、今年から秋祭りになっていた。続く激烈猛暑の影響らしい。さもありなん。


 だがこれは参加側からしてもありがたい。私と武士は、ほのかに涼しげな風を感じつつ、喜び勇んで祭りに詣でたのだ。


「ううむ、盛況である!」


 ぐるりと辺りを見回し、武士がうんうんと頷く。見慣れた屋台と、それに群がる人々。さすがに浴衣を着た人は例年に比べると少ないが、その人達の存在は確かに祭りに彩りを添えていた。


「大家殿、某あれが食べたい。やきそば」


 おうおう、任せろ。今日は祭りだからな、なんだって買ってやる。

 多少高かったところで……


 あ!!!????

 700円!!!!????

 バカお前家でごつ盛り食え、ごつ盛り!!!!!


「ぬう。ならばあちらの焼きとうもろこしはどうだ」


 はいはい、焼きとうもろこしね。あれはいいよね。でもちょっと季節外れてんだよなぁ。野菜って旬を逃すとドキッとするぐらい高くなる……


 あ!!!????

 800円!!!!????

 バカお前家で四つ切りパックのやつ食え、四つ切りパックの!!!!!


「ぬぬう。ならば水風船などどうだ」


 おーう、水風船。ヨーヨーね。いいじゃん、最近は釣れた分だけ持っていっていいシステムじゃなくなって、規定数と交換って感じらしいけど。でも昔に比べるとかなり良心的な……


 あ!!!????

 1回600円!!!!????

 バカお前家でゴム風船に水入れて遊んでろ、ゴム風船に水入れて!!!!!


「何も買えんではないか!」


 せちがらいよー! 物価高の波が祭りを通して家計を直撃してくるよー!


「腹が減っておるから悲観的にもなるのだ。ほれ、りんご飴だぞ」


 お前いつの間に買ってたのよ。まあいただこうか、あんがとね。

 で、このりんご飴はいくらだった?


「六壱百円」


 家で普通のりんごにあわ玉飴砕いたのをふりかけて食べようぜ。


「情緒が失われておる」

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