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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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キャベツふわふわ物語

 江戸時代にキャベツはなかった。


 いや、厳密に言えばオランダ人が長崎に持ち込んだものがあったとのことだが、当時は観賞用に栽培されるのみで食用とされることはなかったらしい。確かに花っぽい見た目してるもんな、アレ。


 ゆえに、武士がキャベツを初めて食べたのも現代日本にタイムスリップしてきてからである。


「うまい葉である」


 今日も武士はキャベツをしゃむしゃむ食べている。キャベツは食物繊維が豊富だ。何よりハムスターも喜んで食べるので、うちにはキャベツが常備されている。

 しかし、毎回葉っぱをちぎって食べるのはいささか文明的ではないだろう。そこで私はこれを買ってきたのだ。


 じゃん! キャベツスライサー!!


「また珍妙な物を買ってきおった。疲れてくるといつもこれだ」


 ストレスが溜まると、なんでもいいから金を使って身の回りを便利にしたくなるんだよ。とにかく使ってみようぜ。

 まず、このでっかい皮むき器みたいなブツをキャベツの側面に押し当てる! そんでもって丁寧に引くと……


「ほう、千切りにできるのか」


 そのとおり! しかもただの千切りじゃない、ふわっふわの千切りなんだ! 食べてみろ! 口の中でキャベツが踊るぞぉ~!


「千切りにしたものを口にして踊っておると感じたことは一度たりとてないが、楽しみであるな」


 しかもまな板を使わないで済む! 洗い物を少なくできるのもありがたいことだな!


「もっとも、大家殿の千切りは短冊切りと呼んでも差し支えない太さではあったが」


 うるっせぇな、さっきから! 首の皮一枚で繋がったきゅうりを量産するオメェに言われたかねぇわ!


「武士の慈悲である」


 お前きゅうり切る時介錯する心持ちで挑んでたの!? やめろよ、味しなくなるだろ!




 ふわふわのキャベツは武士に大変好評でした。

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