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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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突然寒くなった日

 先日いきなり気温が下がった日があったじゃないですか。目が覚めた瞬間、部屋の中に漂う冷気にいち早く気づいて二度寝を決め込もうとし、武士に布団から引きずり出された人間が私です。おはようございます。


「鍛錬にはちょうどよい涼しさだぞ、大家殿」


 今日も武士は神社周りを走り込んでいたようで、薄手のシャツを体に張り付かせて爽やかな笑顔を浮かべている。

 そうか……よかったな。シャワー浴びてきな。


「近頃は虫の鳴く声も聞こえるようになった。まるで某を鼓舞してくれているかのようだ」


 よかったな。虫は求愛してるだけだよ。


「某に?」


 んなわけねぇだろ、メスにだよ。お前に鳴いてるんだとしたら、「そこ自分の縄張りなんすけど」ってぶち切れてる時だよ。


「なんと。某はお見合いの場に土足で踏み入る恥知らず者だったということか」


 気づけてよかったな。じゃあそろそろシャワーに……。


「だが、中には某に向かって切ない恋心を叫ぶ者もおろう」


 好きに思えばいいけど、鳴いてる虫連中全員オスってことは覚えておくといいよ。


「そんなまさか……!」


 覚悟の上で、明日も元気に走り込んできな。

 あ、それよりやばい。私の状態がやばい。


「なにごと」


 また瞼が落ちそう。お布団が呼んでる。


「ならぬならぬならぬ」


 ミーンミンミン……。


「某への求愛か?」


 お布団への求愛です。

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