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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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個人商店の店内にて

 武士とふらりと立ち寄った個人商店の一角に、『良心市コーナー』があった。農家さんから直接卸してきた品物が並んでいるとのことで、言われてみれば他の野菜に比べてなんとなく瑞々しいような気がする。自然とじっくり眺め、武士と商品を吟味していた。


 そこにそれはいたのだ。


 両手に抱えられるほどの、ナゾノクサのぬいぐるみが。


「大家殿、これは……」


 そのぬいぐるみが視界に入った瞬間、私と武士は釘付けになってしまった。当然だろう。どうしてポケモンが農家さんから卸されてきてるんだ。よもや畑から収穫されたのか。ナゾノクサならギリギリありえそうなラインじゃん。


「……うむ」


 そして武士は、ひとつ頷くとナゾノクサのぬいぐるみを抱えてレジに向かおうとした。

 こらこらこらこら。


「今宵の夕餉は決まったな」


 しかも食う気なの? だめだよ、食べらんねぇよ。よしんば食べずに愛でるだけだとしても、さすがにこれ以上うちにぬいぐるみが増えるのはちょっと困るよ。


「しかし、かように愛らしいのに」


 ナゾノクサは愛らしいけど、うちの余剰スペースには限界があるんだわー。


「大家殿、少しばかりちぢんでくださらんか」


 お断りでござる。

 つか、このナゾノクサはどこで採れたんだろうな。結構でっかいけど……。


「きっと豊かな畑からだろう。お天道様の光を浴びてすくすく育ったのだ……」


 Google画像検索……。


「聞け、某の話を」


 あ、これプライズ品だ。UFOキャッチャー畑から農家さんがアームで収穫したんだよ。へー、それで800円なら結構お手頃価格な気がするな。


「ならば」


 買わないよ。


「ぬうっ!」

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