ポテイトゥ!
武士が現代日本にやってきてから随分経った。マジで何の誇張表現もなく随分と経っている。そろそろ永住の二文字が見え始めた。
だが、武士はそれでいいのだろうか。
武士には故郷に残してきた父母や友人がいる。見慣れた景色、馴染んだ文化、人々の騒がしさ……そういったものを思い出し恋しくなることはないのだろうか。
武士よ……。
いやすっげぇポテト食ってんな。
「ふもっふもっふ」
食ってから喋れ。建材置き場・横からの図みてぇな口しやがって。
でもフライドポテトは江戸時代にはなかったからなー。戻ったら食べられなくなるだろうし、存分に食っとけ。
「んぬぬぬもっふ」
わかんねぇわかんねぇ。
「……」
……。
ポテトが吸い込まれていく……。
「もぐん」
お、なくなった。
「よもや芋をそのまま揚げるだけでかように旨いとはな。江戸で店を出せば飛ぶように売れるだろう」
わかる。江戸時代の人たちフライドポテト好きだと思う。
そういや、江戸時代って油は一般家庭にも普及してたんだっけ。
「もっぱら行灯用であったように思う。料理に使うのは屋台の者らが中心だった」
やっぱそうなんだ。炒め物とかまだなかったもんね。
「うむ。ゆえにまふっふふもふもどもっふふ」
喋ってる途中に食うな。どんだけポテトに夢中なんだよ。
「ふむーう……」
お、ちょっと食べる手を止めた。さすがに休憩を挟むか?
「もふ」
違う、ハンバーガーに手を伸ばした! ポテトを食べながらハンバーガーに手を伸ばし、口の中に余裕ができ次第ハンバーガーを食べるつもりだ! なんて食いしん坊だ!
「ふも~」
更に空いた手で次なるポテトも用意! 交互食べを実行するつもりだ!
「んごっふえほえほえほ」
ほら言わんこっちゃねぇ、喉に詰まらせた! しかも両手に持ったハンバーガーとポテトを一旦手放す気もないと見える! 手放せ! 飲み物を飲め! どんだけ食べ続けたいんだよ、フードファイターでも水はちゃんと飲むわ!!