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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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心身バランスの崩れとか

 ここ数日、派遣さんが来てくれたことと繁忙期を過ぎたことで労働環境が大きく改善した。具体的に言うとアホみたいな残業がぐっと減った。

 しかし、私は昔から環境の変化に弱い人間である。日をまたぐ残業デイズから定時帰りデイズへと劇的に移行したことで、それはそれで精神的なバランスを崩していた。具体的に言うと、自由時間には床に転がってSNSの文面を眺めるだけの非活動的な人間になってしまった。


「そこは以前とそう変わっておらん気がするが」


 変わったよ。変わったとも。以前の私は帰宅するなりカバンを放りだし、全力ダッシュで公園へ向かう人間だった。


「稚児の頃の話をしておる?」


 大人になっても、帰宅するなり有酸素運動をして焼肉行くようなエネルギッシュな人間だったろ?


「某の思い出にかような大家殿はおらん」


 私とお前のメモリーに齟齬が発生している。由々しき事態だな。

 それにしてもさ、お前って日中筋トレしたり買い物に徒歩で出かけたり近所の子供たちと遊んだり家中掃除したりしてる割には、夜も元気を保ってるよな。仕事のストレスはかかっていないからっていうのはあるかもだけど、お前仕事していても同じノリなんじゃないかって思う。

 体力あるよね。


「うむ。某は稚児の頃よりずっとこうであるぞ。どんなにへとへとになろうと、一晩休めばもう力いっぱい動ける」


 RPGの主人公みたいなやつだな。うーん……こうして考えるとやっぱ私は体力不足な気がするな。

 よし、体力をつけよう。武士、ちょっと私と一緒に今から走り込みに行ってくれ。


「合点承知」


 ――この時の私は知らなかったのだ。

 近くのゴミ捨て場まで走るだけで息が切れ、「もう帰りたい」と弱音を吐いてしまうことを……。

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