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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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りんごの話

 この時代に武士がやってきて初めて食べたものは少なくないけど、意外に思ったもののひとつがりんごだ。


「大家殿……なんぞ、この赤くて良い匂いのするものは」


 私がスーパーから帰ってきた時のこと。興味深そうにビニール袋を漁っていた武士は、りんごを手にしてそう言った。

 しげしげと見つめ、匂いを嗅いではまた少し離して見る。その姿がまるでこどものようで、江戸時代に西洋的なりんごがなかったと知らなかった私は苦笑したものだ。

 それ、りんごだよ。もしかして江戸時代のりんごとは品種改良されて形が違うかも。でもおいしいから食べてみなよ。


「承知」


 でも今は後片付けで忙しいから、それが終わったら皮を剥いて……

 あ゛ーーーーーっ!!? そのまま丸かじりするやつがあるか! いやりんごだから別にいいけどお前初対面なんだろ!? 白雪姫でももうちょい警戒するぞ!?


「固いが、みずみずしくて美味いな」


 そりゃよかった!!


「だが中にいけばいくほど苦くなる」


 種だ、それは!!

 ぺってしろ! 確かりんごの種って毒性があったから!


「なんと……某は、死ぬのか?」


 死なねーーーーーーーーよっ!!!! ちょっとぐらいなら大丈夫なの! でも食べるすぎると良くないしやっぱ食べないに越したことがないって話なの!!


「食ったら毒になるものを勧めるとは……大家殿、侮れんな」


 何私のせいにしてんの??? 止める間もなく丸かじりしたのお前だろ。もうちょい落ち着きと分別を持て。

 つーか、普通種は食べないようにするだろ。スイカとか。


「あれは飲み込むものでは?」


 じゃあこれからは吐き出せや。

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