熱中症にはお気をつけを
どこかで話したかもしれないが、私は熱中症になりやすい。
症状が出やすいと言ったほうがいいだろうか。夏に水分補給を怠ると、じわじわ頭が痛くなり始める。そして一度こうなってしまえば、経口補水液を摂ろうが冷えピタを貼ろうが塩飴を舐めようが、全て徒労に終わり酷い頭痛に苛まれることになる。
それでも、以前は一晩寝れば回復していたのだが……。
「大家殿、肥えたか?」
前日、うっかり熱中症になってしまった私は今、むくみにむくんだ顔で武士と対面していた。
なんだ、この顔。風船か?
「いかがしたのだ」
こっちが聞きてぇな……。何が起こったんだ、私の顔に。
つーか頭痛い。熱中症の症状がまだ続いてる。
「ぬ、熱中症か。まだ治っておらんかったのか?」
うん、そうみたい。でもなんでそれで顔が膨れてんの?
「知らぬ」
そうだな、武士が知るわけないな。大人しくインターネットに聞いてみます。
えー……。
あ、これかも。脱水症状で顔がむくむことがありますだってさ。
「逆ではないのか? 水を飲みすぎて顔が膨れるほうが道理だぞ」
確かに。……いや、そんな簡単な話でもないらしい。体が水分不足になったら、細胞が自分の水分を外に出して補おうとするとかなんとか。その分の水分がむくみになるんだって。
「?」
きょとんとすんな。
とにかく、まだ私は熱中症を脱していないってことだ。
「ただごとではないではないか」
助けてくれ……!
「医者を呼ぶか?」
そこまでしなくてもいい……はず。とりあえず朝ご飯を食べて、首と頭を冷やして休んでみる。
「そうだな。ただ水を飲むよりも、食い物のほうが体に水を取り込みやすいと聞いたことがある」
おう、めしにするか。
「大家殿」
へい。
「もう無理がきく年ではないのだぞ」
うるせぇ、肝に銘じます。
何卒皆様もお気をつけを。




