そろそろ後先考えて酒を飲もうね、私
花火が打ち上がる。腹に響くような音が鳴るたびに、色とりどりの光が私達の顔を照らす。
その明かりを頼りに焼き鳥を探し出し、口に運んだ。武士はというと、焼きそばを食べつつキンキンに冷えた梅酒をかっくらっている。
いい夜だ。
やっぱスーパーでリーズナブルな値段で買ったツマミを食べながら、エアコンが効いた自室で見る花火は最高だな。
「結局祭りも行かんかったしのう」
そう。我々はぎっしりと祭りに詰めかけた人々と夕方の蒸し暑さにおそれをなし、すごすごと近くのスーパーに向かったのである。そこで祭りっぽいお惣菜を買って帰り、こうして自室で武士と花火を見ているのだ。
「某の祭りが~」
しかし武士はがっかりしたと見え、しょぼくれている。
まあそう落ち込むなって。ほら、梅酒もっと飲んでいいから。
「ぬ~……」
しょうがねぇなぁ。なんだ? 金魚すくいとかしたかったのか?
「……否」
言ってみろって。可能な範囲で叶えてやるから。
「まことか?」
まことまこと。
「……ぼ、盆踊り……」
盆踊りしたかったの!?
なんだよ、それならここでもできるじゃん!!
早く言えよ、水臭いな~。
「盆踊りを!? ここで!?」
こんな狭い部屋じゃできねぇってかぁ!? んなわけねぇよなぁ!!
「大家殿、さては酔っておるな!? 後ろに隠した缶の数はどうしたことだ!」
行くぞ、武士! 盆踊りだ!! ハア 踊り踊るなら~。
「なんだ、その歌は!?」
しまった、お前の時代にはコレなかったんだったな!
じゃあどんな曲で踊ってたの!?
「人も草木も盛りが花よ~……」
うおおお、知らねぇ! 寡聞にして知らねぇ! かくなる上は……。
じゃん! マツケンサンバⅡ!!
「うむ! これならば某も踊れるし歌えるぞ!!」
そんじゃ今宵はマツケンでフィーバーといこうか!
「うむ! 大家殿はついてこられるだろうか……某の足さばきに!」
バカなぁっ! 速すぎて残像が見える!
負けてたまるか! うおおおおおおおおおっ!!!!
翌日、二日酔いの頭痛で目が覚めました。おはようございます。今から出勤です。