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武士がいる  作者: 長埜 恵
2.武士がいる
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だから寒いんだって

 寒い。


 え? 数話前にも同じ導入をした? 知るか日に日に寒くなんだよ。暖かけりゃ「ぬくい」から入るよ。寒い方が悪い。私のせいにするな。


 とにかく寒い。


 いつもなら、武士は鍛錬だのなんだの言ってとっくに布団から出ているのだが……。


「……」


 今朝は、布団饅頭が床で震えていた。


「寒い」


 な、寒いよな。


「しかし腹が減った。厠にも行きたい」


 あー、わかる。ほんとどっちも行きたくないよな。


 布団の中だけで全部済ませられればいいのにな。無理か。無理だな。

 TOTOあたりそういうの開発してくれりゃいいんだけど。いや調べたらもうあるような気もするな。どうだろ。


 だがそれを検索するためだけに、布団の外に手を伸ばしてスマートフォンを取りたくない。寒い。


 しかし、ずっとこのままというわけにもいかないだろう。


 ……。


 なぁ、武士。なんか体の血行が恐ろしく良くなる小話とか知らない?


「……“隣の家に囲いができたとな?” “へい、そうである”」


 ……。


 応答の「へい」と塀をかけたダジャレか。


 寒い。却下。ミカン取ってこい。


「ならぬぞ大家殿。布団の中でミカンを食べるなど……!」


 知らんよ。ここは私の家だ。治外法権、私が法律。はい「お布団でミカン食べてもいいよ法」過半数の賛成により可決。制定。施行。

 ミカン取ってこい武士。


「二人しかおらぬから半分も何もなかろう!」


 うるせぇな。私が法だっつってんだろ。


 布団でくるんだ足で武士を蹴り、奴も負けじと布団アタックで応戦する。そうこうしているうちに日も昇り、体も温まって動けるようになるのだ。


 休日の朝なんざ、こんなもんである。異論は暖かくなってから受け付けることにする。

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